もう誰も人が住んでいない、空き家になってしまった家屋。解体工事を後回しにし、そのまま何年も放置してしまっていませんか?
近年空き家はどんどん増加していて、建っている家屋の7軒に1軒は空き家とも言われており、これが問題となってしまっています。
なぜ空き家が増えてしまうと問題になってしまうのでしょうか。今回は、空き家によって報告されている被害を詳しくご紹介します。
犯罪につながる被害
空き家の被害の中には、重大な事件など犯罪につながるものも多く報告されています。
所有している空き家で事件が起きてしまった場合、直接的には事件に無関係であったとしても、所有者であるあなたも責任を問われることになってしまうかもしれません。
放火による火災の発生
残念なことに、空き家の放火による火事の被害は非常に多く存在するのです。
消防庁の発表によれば、平成26年度に起こった火災の総件数は43,632件だったそうです。そのうちの7,977件、つまり全体の18.2%が放火・放火の疑いによる火災事故とされています。中でも空き家に火をつけられたことで発生した火事は多く、空き家から火が燃え広がり、近隣一帯にまで影響する大規模な火災に発展する事件も実際に起きてしまいました。
なぜ空き家は放火犯に狙われてしまうのか?
なぜ空き家による放火の被害は多いのでしょうか。
一番の理由は「人目がない」というところにあるでしょう。
人の住んでいない家屋は近隣住人の目も届きにくく目撃される確率が極端に低いのです。
外観から見て管理されていないとわかってしまうような空き家は特に狙われやすいです。
ほかにも、施錠が甘いために侵入するのが容易い・雑草や投棄されたゴミなど燃えやすいものが多いなどの理由により、空き家は放火犯の恰好のターゲットになり易いようです。
不法侵入による犯罪の発生
前述のように、空き家は施錠されていなかったり、厳重に施錠されていないことが多いため、基本的に侵入するのが容易いことが多いのです。中には、窓ガラスや扉を無理やりに壊されたりして侵入されてしまうこともあります。侵入しやすい空き家は未成年者の溜まり場になってしまったり、悪質な事件の発生現場になってしまうかもしれません。
実際に起きた事件の中には死体遺棄事件もあり、そのほとんどが空き家の所有者とは無関係の人物によって起きていて、死体を隠すために侵入されたというケースが多いのです。
ほかにも誘拐事件で身を隠す場所として使用されたり、危険ドラッグの製造場所として使用されたなど、恐ろしい理由で犯罪者たちによって空き家が利用されてしまっています。
そのほかにも、浮浪者が不法侵入し、空き家に住み着いてしまうということもあります。
粗大ごみや廃棄物の不法投棄
人の目が届きにくく侵入も容易い空き家は不法投棄による被害も多く報告されています。
不法投棄されるゴミには日常的に出やすい可燃・不可燃のゴミよりも、分別や処分が難しいものが多いです。例えば、テレビ、パソコン、車の部品など…深夜に密かに運び込まれ、家屋の中や庭などに放置されてしまうのです。中には個人が出したゴミではなく、企業が出したゴミが投棄されることもあります。店舗を経営していた企業が使用しなくなった機械の処分費削減のために投棄したり、悪質な解体業者が産業廃棄物を投棄したり…。
このような不法投棄によるゴミをそのまま放置してしまうと、「ここは捨てても大丈夫な場所」として認識されてしまい、どんどん不法投棄される無法地帯になってしまいます。
衛生環境上の被害
空き家をきちんと管理せずにそのまま放置し続けてしまうと、その家屋だけに留まらず、近隣の方々にまで影響してしまうほどの大きな被害に繋がってしまう可能性もあります。
シロアリ・ゴキブリなどの発生
シロアリやゴキブリなどの害虫は乾燥が苦手なため、湿度の高い場所を好んで棲みつきます。老朽化した木造家屋などは腐敗して湿り、害虫たちの過ごしやすい環境を作り出しています。彼らは基本的には雑食で、木材から家屋にあるプラスチック片や、柔らかければ金属でも食べることができるため、空き家に住んでいればエサに困ることはありません。
そうした理由により害虫が発生すると隣家に影響を及ぼすことも多く「自宅を綺麗にしていても隣の空き家から虫が侵入してきてしまう!」という被害の声は少なくありません。
こうした空き家に棲み着いた害虫は、解体工事の際に近隣の家庭に逃げてしまうということも問題視されていますので、近隣の人々のためにも対策を取らなくてはなりません。
野良猫やネズミなど動物の棲み家に
野良猫や野良犬、ネズミなどの動物が棲みつき、糞尿を放置することで臭いによる被害を出してしまうこともあります。害虫と違い、動物たちは家屋の外からエサを手に入れなくてはいけないため、近隣の家庭やゴミ捨て場などに被害を及ぼす可能性も高いです。
今までに報告された被害の中には、家屋の中に何らかの方法で侵入してしまった動物が外に出られなくなり、そのまま家屋の中で死んでしまい、死体が異臭を放っていた…という話もあり、これは人間にとっても動物にとっても決して良いことではありません。
大量の雑草発生
庭の草木の手入れをせず、何年も放置されることで雑草は成長しすぎてしまいます。
木や雑草が手入れされずにどんどん成長してしまったら、隣家の敷地内にまで葉や枝が侵入してしまったり、蚊などの虫を発生させる原因となってしまうおそれもあります。
ほかにも、
など、隣家からの被害の報告は数えきれません。
ネットで覆う程度の対策では破かれる可能性もあり、きちんとした剪定が必要です。
景観の悪化による被害
空き家を放置し管理をせずにいると、手入れされていない家屋が町内の景観を悪くし、地域ブランドを落としたり、近隣の人々に不快な思いをさせることになってしまいます。
家屋の極端な老朽
極端に老朽化した家屋は衛生上の被害があるばかりなく、景観上の問題もあります。
外壁がはがれ壁が腐敗して穴が空いてしまったような家屋が、近隣住民から「お化け屋敷」と呼ばれて怖がられていたり、いくら近隣の人々が町を綺麗に保っていたとしても、そのお化け屋敷のせいで地域イメージを損なってしまうことなりかねません。
ちなみに、家屋の老朽化は通風換気がされていないと早まってしまうため、手入れのされていない空き家は、人の住んでいる家屋よりもずっと老朽しやすいのです。
外壁への落書きなどのイタズラ
人目が届きにくい空き家が、未成年者のイタズラの対象になる可能性も大いにあります。
外壁にスプレーやペンキで落書きされてしまったりすると、その地域の治安が悪いというイメージがつきやすくなってしまい、老朽化した家屋と同じく地域のイメージを大きく損なってしまいますし、近隣の人々の防犯上の不安が強まることになってしまいます。
破損・倒壊による被害
空き家の存在で最も恐ろしいのが、破損・倒壊による被害のおそれです。
空き家の一部が破損して飛んでいってしまったり、家屋自体が倒壊してしまったりすると、けが人や死人を出してしまい、大変なトラブルになってしまうかもしれません。
台風による家屋の一部の破損
これらはすべて実際に報告された被害です。
もともと手入れのされていない家屋は老朽化が進みやすいため、既にもろくなってしまっていることが多く、台風などの天災によって崩れてしまう可能性はとても高いのです。
家屋の一部が飛んできて体にぶつかり怪我をしたと被害を訴えられた場合、所有者自身が直接危害を加えたわけではなくても、所有者責任として責任を問われることになります。
地震による家屋の倒壊
家屋を支える木材や鉄骨が弱ってしまい、地震の発生によって崩れてしまうということもあります。特に古い空き家だと、その家屋が建てられた時と現在では耐震基準が異なっていますので、もともと脆い構造であることが多く、小規模の地震でも倒壊してしまうおそれがあるのです。
空き家が崩れてしまうことで近隣の家屋にも影響を及ぼすおそれがあります。家屋の一部が隣家に向かって倒れてしまったり、けが人や死人を出してしまうかもしれません。
一度家屋の耐震強度について調べてみることが重要です。
まとめ
今回空き家による被害をご紹介しましたが、ほかにも空家による被害は多く存在します。
所有者の都合で空き家を放置されていても、近隣の方々にはメリットはひとつもないですし、何か大変な問題が起こった場合には、所有者も大変な思いをすることになります。
大きなトラブルに繋がってしまう前に、解体へ踏み出すことが大切なのです。
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