今の日本では、全国各地、空き家が増え続けています。つまり、空き家を調べていくと未来の日本の姿が見えてきます。
空き家の問題は、様々な事情が絡みあっており、先日(平成27年5月26日)、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、今、空き家を所有している方は頭を悩ませているのではないでしょうか。
しかしなぜ空き家の増加が問題になっているのか、よく理解していない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
『「空き家」が蝕む日本』の著者であり、不動産コンサルタントの長嶋修氏とジャーナリストの田原総一朗氏のインタビュー対談から、空き家問題についてまとめてみました。
減り続ける日本の人口と増え続ける空き家問題
日本の人口は、年々減り続けています。
実際にどれくらいの数が減っているのか、具体的な数字を知らない方でも「過疎化」という言葉や「消滅可能性都市」という言葉は聞いたことあるかもしれません。
都心部に住んでいる方は、『どうせ、地方のことだろう』と思い過ごしです。しかし、これは田舎であろうとも地方の都市であろうとも、大都市であろうとも関係なく起こる可能性あります。
すべての地域の平均だそうですので、完全に人が住まわなくなった村や町が出てくる可能性もあります。
今は約1億2000万人を超える人口も2050年を超える頃には1億を切ると『国立社会保障・人口問題研究所』が推計を出しています。
やがて、9000万人、8000万人を切った時の日本はどういったイメージでしょうか?
2040年頃には、日本の市区町村の半分がなくなってしまうという予測もあります。
都心部での空き家の活用方法
都心部の場合は、一戸建ての空き家というより、マンションの空き部屋が多くなっています。そのため、東京23区内の各自治体が空き家対策を行っています。
豊島区では「消滅可能性都市」と警鐘を鳴らし、補助金などを使い空き家に対してリノベーションをし、より住みたくなるような街づくりにしていくという政策を行っています。
世田谷区では、空き家も増え続けております。民間のNPO団体を行政がバックアップするような形で、空き家の有効利用活動を実施しています。例えば、高齢者が集うような場所に作り変えたり、保育園として利用するなど、活用方法は様々です。
これから増え続ける都心部の空き家は様々な対策方法が講じられるでしょう。
しかし、人口減少の問題が解決されないまま、空き家の有効利用対策を行ったとしても空室率などが劇的に改善されることはないでしょう。
戦後から高度成長期へ、新築物件を沢山建てて、購入してもらうという国の政策が根本から変わらない限り難しいでしょう。
居住エリアの限定化と利便性が高い街づくり
人が住むエリアを線引きし、その地域に住んでください。
というような居住エリアを用意して、特定の地域に人を集めます。
その地域をより生活しやすいような街づくりを行います。
路面電車を開通させたり、ショッピングセンターを用意したりと、その地域だけですべてが完結する不便な生活をさせない都市を作ります。
そうすることで地価や不動産価格も維持されやすくなります。
こういったことが各市町村で議論されているわけですが、将来的には地方にも十分な仕事がある状態にして、地方分権にする。そして、それぞれの地域の特性を生かして、アメリカのように州を作っていくなど、地方分権の動きをしていかないと地方と大都市との差がどんどん開いていくでしょう。
地方の方も今住んでいる家を空き家にして、もっと住みやすいような地域に引っ越していくのではないでしょうか。
直す家・壊す家の選別が急務
空き家が増えている状況下の中、リフォームする家と解体する家の選別をしっかりする必要があります。
空き家だからといって、片っ端から壊していくのではなく、そのまま放置をしておくと倒壊の恐れがあったり、害虫や害獣の棲み家になったりとトラブルの原因になる家は壊したほうがいいでしょう。
リフォームすることで十分住めるようになる家まで壊す必要はないでしょう。
これは、大都市でも地方でも関係なくしっかりと整備していく必要があります。
空き家の問題は空き家だけでない?!
不動産業界や住宅業界も目の前のことを対処するだけでなく、包括的に考える必要があります。
記事の中で長嶋さんはこう締めています。
けっきょく不動産や住宅の問題は、たとえば移民をどうするか、労働力をどう確保するか、成熟経済をどうするかといった、国の形をどう描くのかという全体像の中で決まっていくことなので、「空き家」ばかりに対処していてもだめなんですよね。新築をつくり続けるなら移民を受け入れるのかとか、そういう議論をすべきだし、いえ議論というよりも、それを具体的に実行する時期に、とっくにきているんですよね。
引用:SYNODOS:空き家率40%時代に備えよ! 田原総一朗が迫る、日本の空き家問題 『空き家が蝕む日本』著者・長嶋修氏に聞く
確かに不動産や住宅の問題は、建物個別の問題というわけでなく、人がその街で生活するために必要事項すべてが絡み合っています。
単純に空き家を所有していて、そのままにしているからペナルティを与えようとか違うような気もしてきます。
これからの日本がどのようになっていくか、各自治体の政策にかかっているでしょう。もっと必要な議論を重ねて欲しいですね。
まとめ
『空き家から考える未来の日本とは?田原総一朗×長嶋修の対談振り返り』ということで、日本の空き家を不動産コンサルタントの長嶋修氏とジャーナリストの田原総一朗氏が問題提起をし、核心に迫ったインタビュー記事を一部抜粋してまとめさせていただきました。
確かに人口が減り続ける中、今でも増え続ける新築物件を作り続けると空き家が増えていくのが子どもでもわかります。
また、東京や大阪などの大都市に人が集まり、地方の過疎化が進んでいるというのも問題でしょう。
しかも、それら大都市でも空き家問題が騒がれており、住居以外の有効活用方法を模索しているところが増えています。
将来、人が住んでいない地域が発生する可能性があるため、あらかじめ居住エリアを作り、生活を充実させ、発展させていく必要があります。地方分権を進め、どの地域でも仕事があり、生活に困らない状況を作ることが一つの解決策と言えます。
10年先、20年先の日本を見据えて、世の中が良くなるために市区町村や自治体が国民のための政策を行って欲しいですね。
空き家率40%時代に備えよ! 田原総一朗が迫る、日本の空き家問題
『空き家が蝕む日本』著者・長嶋修氏に聞く
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