大切な家族のために、住宅をバリアフリーに!費用の相場やお得な補助金制度について

ご高齢となったご親族と暮らすことになったときや、妊娠・出産などで小さなお子様の家族が増えるとき。
「今の家のままでは、高齢の親がけがをしてしまうかも…」「小さな子供が増えると、狭く感じるかも…」など、お住まいの住宅に不安を感じていませんか?

家族全員にとって快適な生活を確保するため、住宅のバリアフリー化をお考えの方も多いはず。しかし、初めてバリアフリーを考える方には、具体的にどこをどう改築すればよいのかわからなかったり、費用の相場がわからず不安に感じたりしますよね。

そこで今回は、住宅のバリアフリーをする際の費用の相場から、バリアフリーリフォームに対する補助金まで、詳しくご紹介いたします!

そもそも、バリアフリー住宅って?

近年耳にすることが多くなった「バリアフリー」。
バリアフリーとは、「障害が無い」という意味。車いすや杖を使用していても自由に動き回ることができ、小さなお子様からお年寄りまで、さまざまな人が快適に暮らせる住宅のことをバリアフリー住宅と言うのです。
昨今では、来る2020年の東京オリンピックに向けて、競技場や駅などのバリアフリー化も進んでいますよね。もはや、障がいをお持ちの方、幼い子どもたち、お年寄りの方々関係なく、誰もが暮らしやすい生活環境が当たり前の時代になろうとしているのです。

代表的なバリアフリー設備

一口にバリアフリー工事と言っても、具体的にどの部分をどのように工事すれば快適になるのかわかりませんよね。そこでここからは、一般的に多く行われている住宅のバリアフリー工事について、いくつかご紹介いたします。

浴室、トイレ、洗面所など

浴室、トイレなどの水回りは、立ち上がったり座ったりの運動が多いため、手すりの取り付け工事を行う方が多いです。

ほかにも、和式トイレのご家庭は座りやすい洋式トイレを設置したり、扉を開きやすい引き戸にしたり。ご高齢の家族や小さなお子様が浴室を利用しやすいように、浴槽を低くしたり、出入り口の段差を解消したり。また、家族の多いご家庭では、脱衣所を広くしたり、洗面台を大きくするといった工事も多いです。

リビング、寝室などの居室

リビングや寝室などの居室は、段差で躓いてしまうことのないよう、敷居をなくす工事を依頼する方が多くいらっしゃいます。
また、寝室をトイレに近い場所に設置したり、リビングとダイニングをフラットにして一体化したり、家族が移動しやすいようにする工事が選ばれています。

玄関、扉、照明、床など

玄関は家族が毎日出入りするスペースですから、車椅子でもスムーズに出入りできるよう、段差をなくしたり、ドアの幅を広くしたりといった工事が多く行われています。
また、古い家屋の照明は、スイッチが小さく押しにくいタイプが多いですが、小さなお子様や車いすをご利用のご家族には使いにくいこともありますから、ワイドスイッチに付け替えるのも便利です。

住宅のバリアフリーリフォームの費用

「住宅をバリアフリーにしたい!」と思っても、どのくらいの費用がかかるのか相場がわからないと、なかなか工事に踏み切ることは難しいですよね。
しかし、住宅のバリアフリー化といっても、それぞれのご家庭によって行う工事は様々。一概に「バリアフリー工事はどのくらい費用がかかるのか」と明言することはできません。

そこでここからは、一般的に多く行われている工事の中から、かかる費用の大まかな相場をご紹介いたします。
もちろんその住宅の広さや、工事を依頼する施工業者によって費用は変わりますので、あくまで参考のひとつとしてお考え下さい。

水まわりのバリアフリー工事にかかる費用

洗面台を車いす対応のものに変更

従来の洗面台は、自立歩行のできる方に向けて作られているため、配水管を隠すための棚が車いすを阻んでしまう作りになっていました。
近年では車いすをご利用の方も、自立歩行が可能な方もそれぞれ快適に使うことのできる洗面台が開発されており、この洗面台を取り換える工事にはだいたい50万円ほど費用がかかるとみられます。

浴室の入り口を3枚戸にし、出入りをスムーズに

小さなお子様や、入浴に補助の必要なご家族のいるご家庭では、複数人での入浴が多くなるため、広い入り口を確保し、スムーズに出入りできることが求められます。
浴室の入り口が1枚戸ですと、一度におひとりしか出入りすることができません。そこで浴室の扉を3枚戸に取り換えることで、補助の必要なご家族に連れ添いながらの出入りを可能にできます。
浴室の扉を取り換える工事には、およそ90万円ほどの費用がかかります。

リビング、寝室等のバリアフリー工事にかかる費用

寝室と廊下の段差をなくし、同じ高さに

バリアフリーというと、真っ先に思い浮かぶのは「段差をなくす」工事ではありませんか?
住宅の段差をなくしフラットにすることで、杖や車いすをご利用のご家族や、小さなお子様が躓いてしまったり、けがをしてしまう可能性を回避することができます。
廊下の居室の段差をなくす工事の費用は、およそ30万円ほどとみられます。

リビング、ダイニング、キッチンを一体化

リビング、ダイニング、キッチンとそれぞれ部屋が区切られていたものを、壁や扉を取り払うことで、LDKを一体化する工事。
LDKは、どの家族も多く利用する大切な場所。広い空間を確保することで、リラックスする場所、食事をする場所、家事・炊事を行う場所として、どの家族も快適に利用することができます。

こちらの工事は、住宅の間仕切壁や建具を撤去するため、比較的大がかりな工事となり、費用は100万円ほどかかります。

キッチン、ダイニングのバリアフリー工事にかかる費用

ダイニングと廊下のドアを吊り戸に変更

押し引きするタイプのノブ式のドアは、車いすをご利用のご家族にはなかなか使い勝手の悪いもの。
ドアを上吊り式の引き戸に取り換えることで、足元のレールがなくなり、車いすのご移動がスムーズになりますし、開け閉めも簡単です。
従来の扉を吊り戸に取り換える工事には、だいたい20万円ほどの費用がかかります。

動線を短くするため、キッチンをアイランドキッチンに

キッチンとダイニングの仕切り壁を取り払いアイランドタイプのキッチンにリフォームすることで、広い空間を確保でき、小さなお子様や補助の必要なご家族の様子を確認しながら家事・炊事を行うことができます。
バリアフリー化目的以外にも近年流行のアイランドキッチンは、工事におよそ180万円ほどの費用がかかります。

バリアフリー住宅のための補助金制度

さて、ここまで住宅のバリアフリー化の具体的な内容と、それぞれの工事にかかる費用の相場をご紹介してきましたが、行いたい工事とその費用がわかっても、自分たちの予算をオーバーしていたり、現時点で費用を捻出することが難しかったりして、「今すぐにしなくてもいいかな…」と思ってしまう方も多いはず。
たしかに住宅のリフォームは、決して安い費用で行えるものではありません。しかし、だからといって後回しにしたままでいると、いざ所有者ご本人やそのご家族が生活に不自由を来したときに「あのとき工事をしていれば!」と後悔することなってしまうかも。

そこで役立つのが、高額な費用を助けてくれるバリアフリー工事に対する補助金
実は、一定条件を満たす住宅であれば、バリアフリー工事の費用を一部補助してもらうことができるのです。

ライフサポート推進事業

ライフサポート推進事業とは、インスペクションというリフォーム前の住宅の劣化状況調査や、性能向上のためのリフォームやメンテナンスによる、既存住宅の長寿命化につながる取り組みに対し、国がその費用の一部を支援するというもの。
通常のリフォームとは違い、耐震・省エネ・バリアフリーなど、住宅の基本性能を高め、長寿命化を図る工事が対象とされています。

対象要件

補助の対象となるには、一定の要件を満たすインスペクションの実施であること、住宅の性能を向上させるためのリフォーム工事であり、工事後に一定基準を満たしていることリフォーム履歴および維持保全計画を作成することのいずれも満たす必要があります。

なお、工事後の一定基準とは以下の通りです。

①劣化対策 数世代に渡って住宅の構造躯体が使用できること
②耐震性の基準を満たす工事 まれに発生する地震に対し、継続利用の為の改修の容易化を図るため、損傷レベルの低減化を図ること
③維持管理、更新を容易にする工事及び設備改修 構造躯体に比べ、耐用年数が短い内装や設備について、維持管理を容易に行う為の必要措置が取られていること
④省エネ性能を向上させる工事及び設備改修 必要な断熱性能の省エネが確保されていること
⑤可変性(共同住宅のみ) 居住者のライフスタイルの変化に応じて、間取りの変更が可能になっていること
⑥バリアフリー対策 将来のバリアフリー改修に対応できるよう、共用の廊下等に必要なスペースが確保されていること

対象となる住宅

戸建て住宅の場合55㎡以上、共同住宅の場合40㎡以上の住宅規模であること。
戸建て、共同住宅にかかわらず、少なくとも1階の床面積が40㎡以上であること。

以上を満たしている住宅が、補助の対象となります。

補助対象費用

補助額は、対象工事に要する費用の3分の1の額です。
なお、1戸につき100万円が上限とされています。

介護保険制度

介護保険制度とは高齢者介護に対する公的な保険制度のことで、健康保険と同じように、全国民が40歳を超えた月から加入して保険料を支払い介護が必要な人が適切なサービスを受けられるという仕組みになっており、要介護者がサービスを受けることで、介護者となる家族の負担が軽減される制度となっています。

高齢者住宅改修費用助制度

介護保険の中で、「要支援」または「要介護1~5」と認定された方が住む住宅が、手すりの取り付けなどのバリアフリー工事を行う場合、リフォームにかかる費用のうち、20万円を上限として9割が補助されます。
つまり費用が20万円以上かかった場合、18万円の補助金を受け取れるというわけです。

なお、ここで言うバリアフリー工事とは、要介護者の生活環境や、介護者が介護をするうえで必要となる工事のことで、要介護者の転倒防止の手すりの取り付け、段差をなくすといった工事が対象とされています。

まとめ

バリアフリーは、今日明日の生活のためだけに行うものではありません。
今は若く健康な方々も、いずれ年月が過ぎれば必ず老いを感じることとなります。ご高齢となったその時、今お住まいの住宅に不自由を感じることもあるかもしれません。
お住まいの住宅や、これから住む住宅で長く暮らしていくため、将来を見越して行うバリアフリー工事も必要です。ですから、家族全員で将来のことも考えながら、十分に相談しバリアフリー工事を行うべきなのです。