新築工事や建て替え工事をお考えの方や、住宅や土地の購入をお考えの方。
不動産の取得には、不動産取得税がかかることはご存じですか?
不動産取得税とは、不動産を新たに取得した際に収めなくてはならない税金のこと。
不動産取得税は、一定の条件に当てはまる取得に限り軽減措置も存在します。
もしもあなたがその対象になっていたら、申請をし忘れて軽減措置を受けられなかった…というもったいない思いをしてしまうかもしれません。
今回は不動産取得税とは何か、軽減措置の内容と対象など、詳しくご紹介いたします!
そもそも、不動産所得税って?
不動産取得税とは、土地や住宅を購入したり、交換や贈与で取得したり、新築・増築・改築したりして不動産を取得する人に、個人・法人関係なく課税される税金です。
更に、ここで言う「不動産の取得」とはそれが有償であるか無償であるかも関係なく、平等に課税されます。ということは、つまりその不動産をタダで譲り受けたとしても、不動産取得税は支払わなくてはいけない、ということです。
土地を所有している限り払い続けなくてはいけない固定資産税とは違い、取得税を納めるのは土地や住宅などを取得した時の一度のみ。
また、固定資産税は毎年1月1日時点の現状によって判断され課税されますが、不動産取得税は1日でも所有していれば課税の対象となります。
固定資産税については、こちらで詳しくご紹介しています。
解体工事後の固定資産税はどのくらい高くなるの?計算方法や節税方法、すべて教えます!
原始取得による不動産取得税
原始取得とは、もともと不動産の存在していなかった場所に新たに不動産をもうけ、それを取得することを言います。
以上のような取得が、原始取得と呼ばれます。
なお、住宅の改築については、改築によって家屋の価格が高くなったと認められる場合にのみ、高くなった分の価格が課税標準とみなされます。
承継取得による不動産取得税
反対に承継取得とは、もともと存在している不動産を譲り受けて取得した場合を指し、土地や家屋の売買・交換・贈与・財産分与などによる取得のことをいいます。
承継取得は、例えば前の所有者が不動産を取得した時から続く不動産の状態をそのまま引き継ぐということですから、土地の売買の際にその土地に地上権や抵当権が設定されていた場合、その地上権や抵当権がついた状態のまま、所有権が移るということになります。
原始取得の場合は、土地に関する権利なども一度真っ白な状態に戻して引き継ぐことになりますので、その土地に地上権や抵当権等がついていたとしても、取得する際には消滅していることになり、そこが原始取得と承継取得の大きな違いと言えるでしょう。
非課税対象となる例
はたまた、不動産取得税が非課税となる場合もまれにあります。
このほかにも政策的理由によって非課税規定はいくつかありますが、多くはこの4つの理由に基づいて非課税となります。
不動産所得税はいくらかかるのか
では、不動産を取得した際、不動産取得税はどのくらい納めることになるのでしょうか。
不動産取得税の計算式は次のとおりです。
わかりましたか?これじゃ何もわからない!という方がほとんどかもしれませんね。
それでは、不動産取得税の「課税標準額」「税率」とは何なのかから見ていきましょう。
課税標準とは
まずは課税標準額からです。
そもそも課税標準とは何かと言うと、簡単にいえば税金を算出する際に必要となる課税対象を指すもので、課税対象額というのはその価値を金額で表示したもののことです。
課税標準額とはつまり不動産の価格のことで、これは総理大臣が定めた固定資産評価基準により評価され、適切な金額に決定されます。
原則として、固定資産課税台帳に記載されている価格のことを指します。
不動産取得税の税率
平成20年4月1日から平成30年3月31日までの10年間に不動産を取得した場合、税率は次のようになります。
土地の場合:3%
住宅の場合:3%
住宅以外の家屋の場合:4%
なお、標準の税率は一律で4%とされています。
不動産取得税の計算例
では、以上のことを踏まえて実際に計算してみましょう。
課税標準額 × 税率 = 不動産取得税
今回は、平成28年6月の住宅の取得であり、評価額は1,000万円である場合を例として計算してみます。
1,000,000 × 0.03 = 300,000 円
今回の例で計算してみると、不動産取得税は30万円になることがわかりました。
不動産所得税軽減措置
先ほど計算した30万円の不動産取得税をベースとして、もしもその習得が軽減措置の対象となる場合はいくらになるのか?を見ていきましょう。
新築住宅取得の場合
新築住宅の取得の場合、賃貸住宅を含む住宅用の家屋であり、50㎡以上(賃貸の場合240㎡以下)の新築住宅の取得に対して、1,200万円を限度として控除されます。
なお、増築・改築による住宅の取得もこの対象となります。
実際に計算してみると…
つまり、実際に先ほどと同じ「不動産評価額が1,000万円の住宅」を「平成28年に取得」の場合に当てはめて計算してみると、
( 課税標準額 - 1,200万円 ) × 3% = 不動産取得税
計算式はこのようになりますので、それをふまえて計算します。
( 1,000,000 - 1,200,000 ) × 0.03 = 0
なんと、30万円だった不動産取得税は、軽減措置により無料になりました。
中古住宅取得の場合
続いて、中古住宅を取得する際の特例です。
軽減措置の条件
・自身の居住用の住宅であること
・50㎡以上240㎡以下であること
・次のいずれかに当てはまること
①築20年(マンションは25年)以内のもの
②昭和57年1月1日以降に建築されたもの
③耐震基準に適合されることが証明されているもの
上記に該当する住宅の所有者であれば、住宅を取得した時期に応じた額が控除されます。
軽減額
新築年月日 | 控除額 |
昭和57年1月1日~昭和60年6月30日の間 | 420万円 |
昭和60年7月1日~平成元年3月31日の間 | 450万円 |
平成元年4月1日~平成9年3月31日の間 | 1,000万円 |
平成9年4月1日~ | 1,200万円 |
なお、平成56年12月31日以前の住宅の控除額については、各都道府県税事務所への問い合わせが必要となります。
実際に計算してみると…
( 課税標準額 - 1,000万円 ) × 3% = 不動産取得税
今回は、先ほどと同様評価額1.000万円の住宅として、現在から20年前の平成8年6月に新築された住宅を例として考えてみます。
( 1,000,000 - 1,000,000 ) × 0.03 = 0
軽減措置がなかった場合30万円だった不動産取得税は、こちらも無料となりました。
土地の取得の場合
土地の取得の場合、先にご紹介した「新築住宅」もしくは「既存住宅」のための土地の取得に限り、条件に該当すれば軽減措置を受けることができます。
①新築住宅用の土地を取得した場合
・平成16年4月1日から平成30年3月31日までの間の取得であること
・やむを得ない事情を除き、敷地を取得した日から3年以内に住宅が新築されること
上記のどちらにも該当していることが条件となります。
ただし、敷地を取得する日の1年以内前に住宅を新築していた場合も対象となります。
②未使用の新築住宅と土地を取得した場合
(土地付き建売住宅や分譲マンションなど)
・平成10年4月1日以降の取得であること
・軽減措置を受ける未使用の新築住宅(築1年以内)と同一の人物が取得していること
・自身の居住用の新築住宅を、土地の取得日から1年以内に取得すること
もしくは土地を取得する1年前以内に土地の新築住宅を取得していること
③中古住宅用の土地を取得した場合
土地を取得した日から1年以内、もしくは土地の取得の1年前以内に、住宅の軽減措置を措置を受けた中古住宅を取得したとき。
軽減額
①、②、③いずれの場合も、次のうちどちらか高い方の額が減額されます。
・45,000円
・土地1㎡当たりの課税標準額×住宅の床面積×2×3%
なお、宅地評価土地の場合、価格の1/2に相当する金額
また、住宅の床面積は200㎡を限度とする。
実際に計算してみると…
今回は、80坪の土地で評価額が600万円であり、平成28年6月に新築住宅と土地のいずれも取得した場合を例として考えてみます。なお、この住宅の延床面積は125㎡とします。
土地1㎡当たりの課税標準額 × ( 住宅の床面積 × 2 ) × 3%
= 土地の不動産所得税
1㎡当たりの課税標準額は、坪数を平米に直し、評価額÷面積で算出します。
また、今回の例においては床面積が125㎡なので、2倍すると250㎡になり限度を超えてしまいます。そのため、限度数となる200㎡を当てはめます。
37,813 × 200 × 0.03 = 226,878
計算の結果、軽減額は22万6,878円となり、45,000円よりも高くなりましたので、22万6,878円が不動産所得税より減額されることになります。
課税標準額 × 税率 = 不動産取得税
600,000 × 0.03 = 180,000
不動産取得税 - 軽減額 = 支払額
180,000 - 226,878 = 0
計算の結果、土地の不動産取得税も、軽減措置を使うと無料になることがわかりました。
まとめ
今回は、不動産取得税と軽減措置についてご紹介いたしました。
一定の条件に当てはまれば、住宅の取得に対する不動産取得税は非常に安いということがお分かりいただけたかと思います。
勿論不動産を取得した際に一時的にかかる税金が不動産取得税なのですから、所有により定期的に納める必要のある固定資産税、都市計画区域内の住宅であれば都市計画税を支払うことにもなりますので、他に必要となる税金も踏まえて、住宅の取得を考えましょう。
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