バブル時代の儲け話はもう過去!不動産転売で抑えるべき情報と税制のポイント

土地を転売をして利益が出れば、これほどありがたい「収入」はありません。90年代始めのバブル期、多くの人々が「土地は儲かる」と不動産投資に走りました。しかし、土地の転売で儲かるのは過去の話。現在、土地を不動産投資として儲けるのは至難の技です。

土地を安く買い、高く売るという極めてシンプルな構図ですが、土地の転売は豊富な知識と経験が必要になります。法律上の注意点も踏まえ土地の転売に関するポイントをみていきましょう。

不動産で儲けることは難しいのか?

残念ながら、一般投資家の土地の転売が可能だったのは不動産バブルまでの話です。現在、土地の転売は不動産相場や税制により「転売だけで利益を上げる」のは難しくなっています。

「バブル期に購入した土地は寝かしておくしかないのか…」と思われるかも知れませんが、そうではありません。バブル期の相場が異常だったのであり、本来の土地取引のあるべき形が現在の相場なのです。

ネットで売りに出ている土地を買っても利益は出ない

土地の転売で利益を上げるには「いかに安く土地を購入できるか?」がすべてです。安く購入できれば相場価格で転売しても充分利益を出せます。

大切なのは「情報力」であり、ネット上にある売却物件を探しても意味がありません。なぜなら、ネットに相場より安く購入できる物件が掲載されているのであれば、とっくに売れているからです。ネット上の売却物件は「お得な土地」ではなく「売れ残っている土地」と考えるべきです

このような物件は業界で出回り物件と呼ばれ、プロの不動産業者は手を出しません。

土地の転売で利益を上げるには「転売」ありきではなく「経営」ありき

不動産投資で利益を上げる方法は大きく分けて2つ、賃料収入売買差益です。土地の転売は売買差益で収益を狙うものですが、一般投資家向きではありません。

安全かつ効果的な資産運用を考えるならば、購入した土地を経営しながら「高く売れるチャンスを待つ」ことです。例えば、更地のままであれば駐車場経営をしながら「所有しているだけで含み損」の状況を回避することで、転売の時期を焦らずに済みます。

場合によってはアパートやビルなどで賃貸経営をしても良いでしょう。最初から転売で儲ける発想だけではなく、土地を「育てる」で中期的視点で購入しましょう。

昔話になった「転売長者」!土地の転売の現状は?

不動産バブル期は、土地の価値に関わりなく「不動産であれば値上がりする」が常識でした。土地を転売するだけで大きな儲けを生み、土地転がしと呼ばれる投資家が存在しました。

今や「土地転がし」のような投資方法は通用せず、土地の転売だけでなく幅広い視野を持ったスタンスが現在の不動産投資では必要です。

税制も土地の転売には冷ややか

土地の転売は相場の事情だけでなく、税制にも影響しています。土地の売却益に対して課税される所得税と住民税が、取得してから5年以内の売却で税率がほぼ2倍になります。売却益の40%が税金で徴収されるので、転売を繰り返し利益を上げる難しさに拍車をかけています。

土地の価値が大きく変わる要素を予測できるか

購入した土地が値上がりする可能性として、以下のような条件が挙げられます。

  • 新しい駅
  • 集客力のある施設
  • 企業や工場

土地の利用価値が高まる要素があれば土地の価格は上昇します。土地の利用価値が高まるタイミングでは当然利益を出せます。

しかし、こうした情報は特定の人に流れた時点で不動産取引が行われる可能性が高く、一般投資家が参入できる余地は少ないのです。実際、購入した土地が値上がりをして転売利益が出たケースは「たまたま」というのがほとんどではないでしょうか?

土地の転売に関連する法律や税制

土地の購入は正当な不動産取引です。また、購入後に保有している土地を売却するのも問題ありません。土地を転売して利益を上げるのに違法性はなく、禁止する法律もありません。

なぜなら、住居用に土地を購入した場合と最初から転売目的で購入した場合では外見上の違いがないため、区別をするのが難しいからです。

ただし5年以内の売却には高率の税金

法律では、土地を取得してから5年以内に売却をし、利益が発生すると税金が発生します短期譲渡所得と呼ばれ、「売却した年の1月1日現在で所有期間5年以下」の場合、30%の所得税と9%の住民税が課税され、合計で39%になります。

それに対して「1月1日現在で所有期間が5年を超えている」場合は所得税が15%で住民税が5%になり、合計は20%です。対象期間の違いで税率が倍近くになっているので、土地の短期売却に厳しく対処しているのが分かります。

なお、平成49年までの特例措置として通常の税金に加えて土地の売却益には復興特別所得税として2.1%が上乗せされます。復興特別所得税は短期売却であっても5年を超えてからの売却であっても同じです。

土地の転売は税金が高いワケ

土地の売却は所有期間5年を境に大きな税率の差がでるのはなぜか?税金は「不労所得」には高い税率を課すのが基本的な仕組みなので、土地の転売で儲けている不動産会社や投資家には高額課税されます。

もうひとつは、「不動産バブル」の反省です。土地を購入してすぐに転売する錬金術が横行し、土地は「投機」の対象として活発に売買されていました。その結果が多くの不良債権を生みだしました。短期譲渡所得には「土地転がし」の横行を防ぐ狙いがあったのです。

すでに不動産バブルが崩壊して20年以上経過しました。しかし、税制だけは現在も継続している状態です。

5年以内に土地を転売した場合の税額計算方法

購入した土地を5年以内に売却をして1,000万円の利益が出た場合、税額はいくらになるのでしょう?実際に計算式に当てはめて金額を算出してみましょう。

これは短期譲渡所得に該当するので所得税率が30%、住民税率が9%でした。5年を超えた場合の税率でも計算をしてみましょう。

短期譲渡所得が適用されても控除があるケース

取得後5年以内に土地を売却するケースは、転売目的以外であっても十分にあり得ます。単に所有年数だけで短期譲渡所得の扱いを受けると不公平感があるので、特例によって控除されるケースがあります。

以下は適用されるケースが多いと思われる主な控除です。

  • 公共事業のために売却 →控除額5,000万円
  • マイホームの売却   →控除額3,000万円
  • 特定土地区画整理事業 →控除額2,000万円

控除内容を見ていると、国の事業や政策のために土地を売却した場合や、自己居住用の土地建物であれば転売と見なされず、控除が受けられます。単純に利益を目的とした土地の購入と転売には厳しいのが現状です。

不動産の転売についてのまとめ

購入した土地を転売して利益を上げるには個人ではとても難しいのが現状です。

「一般投資家には難しい」のは事実ですが、利益だけを追求せずに「土地」と向き合えばリスクは大幅に減ります。土地を転がして利益を求めるのは「投資」ではなく「投機」なのです。

安全性を確保しながら長期的なスパンで資産形成を図るのが「投資」ですので、土地の転売で儲けようとお考えの方は、大きなリスクがあることを注理解するべきでしょう。

著者情報

コノイエ編集部

コノイエは、東京都港区に本社を置く株式会社アールアンドエーブレインズが運営するオウンドメディアです。累計80,000人以上が利用する「解体無料見積ガイド」の姉妹サイトとして、住宅関連コンテンツを発信しています。人が生活する基本となる「衣・食・住」の中でも、コノイエでは「住」にフォーカスして独自の情報をお届けします。

監修

中野達也

一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事
解体工事業登録技術管理者
公益社団法人 日本建築家協会(JIA)研究会員
一般社団法人東京都建築士事務所協会 世田谷支部会員

静岡県出身。日本全国の業者1,000社超と提携し、約10年間で数多くの現場に関与。自身でも解体工事業登録技術管理者としての8年間の実務経歴を持つ。現在では専門家として、テレビ番組をはじめとする多数メディアに出演。これまでに一般家屋はもちろん、マンション、ビルなど様々な建物の取り壊しに従事し、工事を行いたい施主、工事を行う業者の双方に精通している。また、大手から中小まで様々な規模の住宅メーカーへの販促支援、コンサルティング事業に携わり、住宅購入者心理の理解を深める。家を「壊す」ことと「作る」ことの専門家として、全国の提携パートナーと共に家をとりまく様々な問題に取り組んでいる。

出演メディア
ひるおび!(TBS系列)、情報ライブ ミヤネ屋(日本テレビ系列)、バイキングmore(フジテレビ系列)、他多数...

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