解体工事のその前に!失礼のない近隣挨拶とは

建物の取り壊し工事を行う際、できるなら何のトラブルもなく、無事に終わらせたい…と思うのは、誰でも同じですよね。

特に取り壊し工事中の近隣住民とのトラブルは多く、最悪の場合取り壊し工事を中断しなければならなくなったり、裁判にまでもつれこんでしまうケースもあります。

工事は自分たちの都合で行うもので、その近隣に住む人達にとってありがたいことではありません。

工事を行う際にしっかりと近隣の方々へ挨拶をし、工事に対する理解を得ることがとても重要なのです。

とはいえ、工事前の挨拶は誰がすれば良いのか?どんな内容で、何を渡せば良いのか?どのくらいの範囲まで挨拶するべきなのか?など、わからないことはたくさんありますね。

今回は、近隣の方々に気持よく思っていただけるご挨拶についてご紹介します。

工事は近隣住民に迷惑をかけてしまう!

近隣挨拶

あなたは建物の取り壊し工事にどのようなイメージを持っていますか?

「工事の音が大きくてうるさい」、「ホコリやゴミが飛んできて困る」など、マイナスなイメージを持たれる方は多いと思います。

実際に報告されている被害には、次のようなものがあります。

騒音や振動による被害

取り壊し工事をする際、どれだけ気を使っていてもある程度の騒音や揺れは避けられません。

家屋の基盤は地中深くまでありますから、それを掘り起こす際近隣の地面も揺れてしまいますし、重機を使っている以上騒音が発生するのを完全に防ぐことはできないのです。

対策としては、防音のためのパネルを出来る限り設置したり、騒音・振動が発生しやすい作業は早朝や夕方には行わないなど、気を配りながら作業する必要があります。

埃や粉塵飛散による被害

工事を行う際に、もともと家屋の中に溜まってしまっていた埃や、木材などを壊す際に発生する粉塵が風によって飛散してしまい、近隣の洗濯物や、駐車されている車を汚してしまうことがあります。

せっかく洗濯した衣類や大事にしている車を汚されてしまったら…住民の方が怒るのも当然のことですよね。

埃や粉塵の飛散を防ぐにはしっかりとした養生の設置や、粉塵が発生する作業の際は水撒きをして飛散を防ぐ等、出来る限り近隣に被害が及ばぬよう気遣わなければなりません。

害虫による被害

施工中や、施工前の片付けの段階などで、家屋に潜んでいたゴキブリなどの害虫がその家から脱走し、近くの家の中に入っていってしまうことがあります。

「せっかく家を綺麗にしていたのに」とショックの声が上がることは少なくありません。

施工前に片付け・掃除を行う際は、家屋の中の害虫を駆除する事にも気を配りましょう。

燻煙剤や害虫用の餌を利用したり、万が一外へ逃げてしまわぬよう、事前に退治しておくことが大切です。

ある程度は「仕方ない」と理解してもらう必要がある

最大限気を配っていても、ある程度の被害は理解を得て我慢してもらわなくてはならないこともあります。近隣挨拶は、そういった理解を得るためにも必要なことなのです。

事前に取り壊し工事を行うことが伝わっていれば、住民側も害虫の対策をあらかじめしておいたり、施工中は洗濯物などの汚れては困るものを外に出さないように気をつけたりする、などの対策を取ることができます。

今後の関係を良好に保つ為にも、お互いに協力しあって工事を行えるようにしましょう。

取り壊し工事での近隣トラブルについて、詳しくはこちらの記事でご紹介しています。

隣家の補修費用取り壊し工事に伴う隣家の補修費用は誰の負担?トラブルの種類と回避方法

挨拶は誰がするべき?回る範囲は?

「近隣への挨拶は施工業者が行ってくれるんでしょ?自分もする必要があるの?」「近隣と言っても、どのくらいの範囲まで挨拶をしたらいいのかわからない!」

そんな風に思われている方は多いのではないでしょうか。

施主も近隣挨拶に回ろう

きちんとした施工業者であれば、近隣への挨拶は必ず行います。

しかし業者がしたのだから…と施主が挨拶に行かないと、「工事を注文したのは施主なのに、ちゃんと挨拶に来てくれないなんて…」と不信感を抱かれてしまうこともあります。

ご挨拶回りは、取り壊し工事の施工業者と一緒に行えるのが最も理想的です。業者から工事に関する専門的な質問などに答えてもらえることに加え、施主が足を運ぶことにより事情を理解してもらえやすいからです。

もしも業者と時間の都合が合わず同行するのが難しいようであれば、個人で挨拶に行った際に「後で業者からも説明しますので」など一言伝えると良いでしょう。

ご挨拶回りのタイミングですが、余裕を持ったタイミングで挨拶に伺う事も重要です。工事開始の1日前や2日前になってから慌てて挨拶に伺うのはもっての他で、近隣の方への失礼に当たります。

工事が開始される事によって現場前が通行止めになってしまったりすると、当日車を使用する予定のある方でも、事前に工事のスケジュールが分かっていれば調整する事もできるでしょう。

ただしあまりにも早くしてしまうと失礼に値することもありますので、一般的に施行開始の10日~一週間前くらいがベストだと言われています。

業者が行う近隣挨拶とは

業者の近隣挨拶

工事業者が挨拶を行うのには、工事で迷惑をかけてしまうことへのお詫びという意味合いのほかに、工事内容の説明をするという意味もあります。

ご挨拶に伺った際には工事のスケジュール表を渡し、どのような手順と期間において施工するかを詳しく説明し、少しでも不安な気持ちを軽くしてもらわなくてはなりません。

業者からはご挨拶状のほかに、一般的にタオルや洗剤などの手土産をお渡しします。

取り壊し工事後、新築を建てる場合は?

新たに新築を建てるような場合にも近隣へのご挨拶は必要とされていますが、取り壊し工事の時にご挨拶を終えている場合、建築の際に再度挨拶をする必要はありません。

何度も挨拶に伺ってしまうと、住民の方々のご都合もありますので、逆に失礼だと思われてしまう可能性もあります。

挨拶はどの範囲まで回ればいいの?

ご挨拶に回る範囲はケースバイケースですので、明確に何軒行ったほうがいいというような定義はありません。

一般的に最低限挨拶するべきなのは、工事をする隣の家、向かいの家、裏の家です。

ほかにも、迷惑を被るだろうと予測できる家屋にはご挨拶に伺った方が良いでしょう。

近隣挨拶を行う範囲

上記の図を例としてご説明します。

両隣の家と向かいの家、裏の家を、最低限挨拶をするべき家とします(赤い色の家)。

左端の黄色い家3つは、できれば挨拶をした方が良い家です。

なぜできれば挨拶をした方が良いのかというと、理由はこの収集運搬車にあります。

収集運搬車が取り壊す建物の前に停まると、道を塞いでしまうことになります。

上記のような配置の住宅地だと、黄色の家に住んでいる方々は運搬車の向こう側に行きたいとき、通常よりも遠回りをして通らなければならなくなってしまうのです。

このように、取り壊し工事をするときのイメージを浮かべつつ、何が近隣の方々の生活に影響を与えてしまうか、一度逆の立場になって考えてみるといいでしょう。

多くの家へご挨拶に伺っても、うちは関係ないのに挨拶に来るな!と叱られるようなことはほぼありません。

「自分がこの家の方だったら困るかも」と思うことがあれば、ご挨拶に伺っておいたほうが安心ですよ。

挨拶の際に必要な書面と手土産

先ほど業者がご挨拶の際に住民の方にお渡しするものをご説明しましたが、施主の方がご挨拶に伺う際にも、やはり手土産の粗品は持って行った方が良いです。

また、ご挨拶状は業者がお渡ししていれば同じものを施主が用意する必要はありませんが、万が一業者が書面を用意していなかった場合などは施主が用意し、お渡ししたほうが良いでしょう。

ではご挨拶状の内容や、手土産の粗品はどのようなものが良いのでしょうか。

挨拶状の書き方

近隣挨拶状の書き方

工事業者がきちんと概要を明記したご挨拶状を用意していれば、施主の方がご挨拶する際のご挨拶状は簡単なもので問題ありません。

文面例

ご挨拶

平成●年●月●日

書面にて失礼致します。

この度、近隣にて●●邸の取り壊し工事を行う事になりました施主の●●と申します。

取り壊し工事期間中は騒音や振動等で皆様には多大なご迷惑をおかけするかと存じますが、工事期間中は安全、騒音等に万全の注意を払いますので、何卒ご理解とご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

工事場所:●●市●●区●番地

工事期間:平成●年●月●日~平成●年●月●日

施主:●● ●●

施工業者:●●●●

緊急連絡先:000-000-0000

以上

施工業者が書面を用意していなかった場合、施主の方が工事の概要を記した書面を用紙し、お渡ししなければなりません。

ご挨拶状に書くべき内容は、主に次のとおりです。

ご協力のお願い

工事中にご迷惑をおかけしてしまうこと、ご協力をお願いしたい旨を記します。

工事の名称

「●●邸取り壊し工事」など、工事の概要がわかる名称を明示します。

工事を行う場所

取り壊し事を行う家屋の住所を具体的に明示します。

発注者名

取り壊し工事を発注した責任者の所在を明示します。

施行期間

工事の施工予定期間を記します。

天候等の影響により遅れてしまうことを想定し長めに設定しておいたほうが良いです。

施行時間

1日のうち何時から何時まで工事を行うのかを記します。

万が一の為始まる時間を早めに、終わる時間を遅めに設定しておいたほうが良いです。

休みの日

工事を行わない曜日を記載します。

工事施工業者

取り壊し工事を請け負い、実際に施行する業者の名前を明示します。

施工業者の住所

取り壊し工事施工業者の住所を命じます。

施工業者の担当者

施工業者の中で、今回の工事の責任者である担当者の名前を明示します。

施工業者の連絡先

万が一お客様から直接ご連絡をしたいという場合に、対応できる連絡先を明示します。

不在の時も投函しよう

ご挨拶に伺った際、そのお宅が留守中だった、ということもあるでしょう。

そのようなときは書面だけポストに投函しておき、直接粗品をお渡ししてご挨拶をするのはまたの機会にした方が良いでしょう。

朝早い時間や、逆に夜遅くにご挨拶に行くのは失礼になりますので、お伺いする時間にはくれぐれも気をつけましょう。

手土産はどんなものがいいの?

手土産

お渡しする手土産の粗品は、必ず用意しなければならないものではありませんが、何も持たずにご挨拶に行ってしまうと、非常識と思われてしまう可能性もありますので、なるべく何か用意して伺いましょう。

お渡しするものは高すぎず、相手が受け取っても困らないものを意識して選ぶと良いでしょう。タオルや洗剤、石鹸、大げさでない程度の菓子折りなどが一般的です。

業者がお渡しするものと内容が被ってしまうと、相手も困ってしまうかもしれませんので、事前に打ち合わせしておくと良いでしょう。

手土産にのし紙はつけるべき?

厳密な決まりがあるわけではありませんが、粗品には「ご挨拶」と描かれた外のしをつけるのが一般的です。

のし紙には二種類ある

のし紙には包装紙の内側につける内のし紙と、外側につける外のし紙があります。

内のし紙は主に内祝いの際に用いられます。

内祝いは親しい人や身内の間で喜びを分かち合うことですので、「自分たちに祝い事があったので、おすそ分けさせてください」という意味合いがあります。

外のし紙は包装紙の外側につける為、どんな目的で贈っているのかどうかがわかりやすいので、どのような贈り物であるのかひと目で分かるようにしたい時に利用されています。

ただし、その地域の風習によって内のし・外のしのマナーは異なる可能性があります。

その土地の風習ではどちらが一般的なのか、事前に調べておくのも良いでしょう。

工事完了後にも挨拶に伺うと好印象

一般的に工事前には近隣挨拶へ伺いますが、工事完了後には伺わないお施主様も多いです。

しかし、工事後も挨拶に伺えるのなら伺う方が良いでしょう。特に、工事後もその土地に住み続ける場合は、その後の近隣の方との関係性やご近所づきあいも考慮して、工事完了後に「ご協力ありがとうございました」というお礼の一言を伝えたいところです。

近隣住民の中には、「工事中にこれだけ不快な思いをしたのに、工事が終わっても一言もないのか!?」と不愉快に思われている方もいるかもしれないので、「ご協力頂きありがとうございました」という感謝の言葉をかけるだけでも、相手からの印象はまったく変わるでしょう。

工事完了後の挨拶には、お隣さんが業者から直接的な被害を被っていないかを確認するという意味合いもあります。場合によっては、お隣さんが被害を受けていても言い出せずに躊躇している場合もあるかもしれないからです。

それを放置しておくと近隣関係の悪化につながる恐れがあります。ご挨拶をする際に、「どこか傷をつけられてしまった所はないですか?」などとこちらからお尋ねすることで、不要なトラブルを未然に防ぐことができます。

解体工事の近隣挨拶についてのまとめ

近隣挨拶は取り壊し工事を行うご自身たちのためにも、その近隣の方々のためにもとても重要なことです。

工事を行う側としてはクレームなど受けることなく穏便に工事を終わらせたいですし、近隣の方々としては自分たちの生活を侵されることなく、不安に感じることなく工事を終わらせて欲しいのです。

家屋を所有している人ならば、いつか取り壊し工事を行うことがあるかもしれません。

その時になればお互い様だから…と近隣の方々に思って頂けるよう、施主側の事情を理解してもらい、こちら側も近隣の方々への思いやりを忘れずに施工することが大切です。

著者情報

解体無料見積ガイド

解体無料見積ガイド編集部

解体無料見積ガイド編集部は、建物の取り壊しを題材に独自のコンテンツを発信するオウンドメディアを運営しています。2011年の創業以来、10年以上にわたるサービス運営経験の中で培ったノウハウを凝縮し、役立つコンテンツを発信しています。

監修

中野達也

中野達也

一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事
解体工事業登録技術管理者
公益社団法人 日本建築家協会(JIA)研究会員
一般社団法人東京都建築士事務所協会 世田谷支部会員

静岡県出身。日本全国の業者1,000社超と提携し、約10年間で数多くの現場に関与。自身でも解体工事業登録技術管理者としての8年間の実務経歴を持つ。現在では専門家として、テレビ番組をはじめとする多数メディアに出演。これまでに一般家屋はもちろん、マンション、ビルなど様々な建物の取り壊しに従事し、工事を行いたい施主、工事を行う業者の双方に精通している。また、大手から中小まで様々な規模の住宅メーカーへの販促支援、コンサルティング事業に携わり、住宅購入者心理の理解を深める。家を「壊す」ことと「作る」ことの専門家として、全国の提携パートナーと共に家をとりまく様々な問題に取り組んでいる。

出演メディア
ひるおび!(TBS系列)、情報ライブ ミヤネ屋(日本テレビ系列)、バイキングmore(フジテレビ系列)、他多数...

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