二世帯住宅の失敗例から学ぶ注意点と対策法

最近は、経済的な事情や親の介護などの理由から、親世帯と子世帯が一緒に住む「二世帯住宅」での生活を考える人も増えています。
しかし、新たな土地で二世帯住宅での生活を始める場合、元々住んでいた実家はどうしたらいいのか、また実家を建替えて二世帯住宅にする場合、どんなことに注意したらいいのか、多くの疑問を抱くと思います。

また、実際に二世帯住宅に住み始めると、家庭内での嫁姑問題や、土地問題、思わぬお金にまつわるトラブルなどで「失敗」を経験する人も多くいらっしゃいます。

今回は、二世帯住宅に住もうと考える人に向け、二世帯住宅に関するトラブル対策方法を、二世帯住宅に暮らした人が経験した失敗例をもとにご紹介します。

二世帯住宅引っ越し後に失敗しない空き家対策

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親世帯が、今まで住んでいた実家から新しい土地に建てた二世帯住宅に引っ越すことが決まった場合、もともと住んでいた家は「空き家」になってしまいます。しかし、住まなくなったからといって、実家の売却はすぐ決断できるものではないですよね。

空き家問題は大きな社会問題となっており、2015年2月には「空き家対策特別措置法」が施行されました。管理されていない空き家への立ち入りを各行政府に認め、空き家の対策などを推進しようとするものです。

実際に、新しい土地での二世帯住宅の引っ越しを考えている人にとっても、今住んでいる住まいが空き家になってしまった場合、どう対処したらいいのか分からない人も多いかと思います。では、実家が空き家になったままだと、どのような問題生じてしまうのでしょうか。対処法も一緒に確認していきましょう。

空き家になった実家の対処法3つ

①売却する

「古家付き住宅」という形で、建物には価値をつけず、土地の値段で売却することが多いようです。その古家は、購入者が解体する費用を見込んで売却価格設定されることが多いです。

メリットとしては、早めに売却処分しておけばいざというときの相続税納税資金を確保できます。「親の土地建物」という不動産は、相続税の評価ではかなりあやふやです。
相続税を申告する税理士次第で相続税額も大きく変わることもあれば、景気に影響されることでの値上がりや値下がりも起こりえます。
売却処分して現金にかえていれば、将来、子どもたちの間で揉め事にならずに済むかもしれません。

デメリットは、不動産の売却処分には時間がかかることが挙げられます。隣地の土地の境界線で揉めることも多いので、当事者がいるときに決断や協力を得ることが重要です。権利証と実印だけでは売却できません。親が認知症になってしまった場合、売却処分は難しくなるので気をつけましょう。

②賃貸物件として貸す

築何十年と経過している家に借り手が付くのか心配される方も多いかと思いますが、最近では、古家をリフォームして、古さに味を持たせるような使い方も増えています。古家の再生現場を確認していただく内覧会も行われたりしています。

実家を人に貸して家賃収入を得ることのメリットとして、毎月定期的な家賃収入があるということが挙げられます。アパートや賃貸マンションよりも戸建てに住みたいと希望する方は非常に多いらしく、「貸家」は人気なので家賃収入は意外と簡単に得られるかもしれません。また、家賃滞納も少なく、清掃などもほとんど入居者が行ってくれる場合が多いそうです。

デメリットとしては、「売却処分にしてお金に換えたい」という状況になっても、賃借人がいる状態での売却は難しいということです。そして、初期費用の金額が大きいので経済面においても準備と覚悟が必要です。リフォーム費用は場合によってそれぞれですが、100万円超は頭においておいた方がいいと思います。

また、親が亡くなった後、誰がその賃貸管理を行うか、毎月入ってくる家賃収入を子供で分ける配分も、あらかじめ考えておく必要があるでしょう。

③実家を解体して土地を他のことに活用する

使わなくなった実家を解体して更地にし、他の利用方法を検討することができます。そんな「土地活用」という言葉は一般的になってきているようです。
土地活用の代表的な種類としては、賃貸マンションの経営、駐車場、医療・介護施設、事務所や工場、倉庫などがあります。

土地は持っているだけで税金がかかりますが、土地を活用することで相続税や固定資産税、所得税などの税金を少なく出来る「節税対策」ができるメリットがあります。

デメリットとしては、「建物を建設する契約」であれ節税になりますが、30年以上の長期にわたって契約解除できません。土地の活用法について相続時に揉める心配がありそうな方は、慎重に判断する必要があるでしょう。

「空き家放置」は危険!空き家を維持するためのお金

二世帯住宅に引っ越し後も、「思い出が残る実家を残しておきたい」、「意見がまとまらない」「売りたい値段で売れない」などという理由から実家が空き家のまま放置されるケースが多いです。しかし、維持していくというのはとてもお金がかかるということを知っておきましょう。

固定資産税

一番大きな出費は固定資産税。毎年1月1日現在に所有している(自治体の固定資産課税台帳に登録されている)土地や家屋に課される税金です。
固定資産税の標準税率は1.4%。税額は、固定資産税評価額の1.4%となります。例えば、課税標準額(評価額)が2,000万円なら、固定資産税は28万円となります。

都市計画税

都市計画法による市街化区域とされている区域内にある土地や家屋については、
固定資産税に加えて都市計画税も課税されます。
都市計画税の制限税率(上限)は0.3%です。都市計画税も住宅用地特例があり、
最大3分の1まで軽減されますが、税金がかかることに変わりはありません。

その他費用

電気や水道も契約を解除しなければ料金が発生します。一戸建てなら外壁などの補修や手入れも必要でしょう。遠方なら維持管理を丸ごと委託するケースもあります。
マンションなら毎月の管理費や修繕に備えた積立金も徴収されます。

引用:知っ得不動産お役立ちナビ

二世帯住宅への引っ越しの注意点

子世帯と親世帯が別々に住んでいたところから二世帯住宅に引っ越す場合、できれば引っ越し日はできるだけ一緒にしたいです。料金の面でも有利になり、配送間違いなどのトラブルにも対処しやすくなります。

たとえ引っ越し日が離れていたとしても、同じ業者に合わせて見積もりをしてもらいましょう。
二世帯で相談して、いちばん良い業者を選ぶなら、一括見積もりを受けることをおすすめします。

実家を二世帯住宅に建て替える場合の注意点

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親が所有している実家を建て替えれば、土地を買うための費用が不要になるので、新しい土地で改めて家を建てるよりもお得ですよね。
しかし、何も確認をせず建物を解体してしまうと、想像もしなかった失敗をしてしまうことも起こり得るのです。
では、二世帯住宅に建て替える場合、どんなことに気をつければ良いのでしょうか?

解体して更地にすると家が建てられないケース

家を解体して更地にしてしまうと、新たな家を建てられない土地というものがあります。それが「再建築不可物件」です。実家の土地がこの再建築不可物件であると、実家を二世帯住宅に建て替えようとしてもできません。また、売り出されている古家付き物件が、再建築不可物件だった場合も同様です。

再建不可物件になる土地って?

家を立てるときには、建築基準法による様々な制約があり、好きな場所に自由に建てられるわけではありません。
建物を建設することが認められていない再建不可物件とされるのは、市街化調整区域にある土地の場合、「17万ボルト以上の高圧線下にある土地」そして「接道義務を満たさない土地」などが当てはまります。

「接道義務」とは、建築基準法に定められたもので、建設物の敷地が、道路に2メートル以上接しなければならない義務のことです。
この接道義務を満たしていない土地に建てられた家がある場合、その家を解体して更地にすると、建築基準法により、新たに家を建てることができません。

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引用:suumo

せっかく建て替えを計画したのに台無しになってしまった…ということがないよう、心当たりがある方は一度、役場や区役所などで確認した方が確実です。

相続で失敗しない二世帯住宅の節税対策

二世帯住宅は、相続で失敗しないための手段としても非常に大きな効果があります。
将来、二世帯住宅に住み替えるなどして実家を引き継ぐ場合は、相続税がかかるのかをチェックしておくとよいでしょう。相続に備えて実家の活用を考えるときも、税金がどうなるのかを確認しておくことは必要不可欠です。対策によっては有利な制度が使えることもあります。
では、相続税対策で失敗しないために、二世帯住宅を利用する際に注意すべき点をご紹介します。

二世帯住宅での同居は「登記」の仕方に注意

二世帯住宅に限った話ではありませんが、新しい家を建てた時には登記が必要です。

①単独登記(二世帯住宅の所有権を1人の名義で登記)
②共有登記(二世帯住宅の所有権を複数の名義で登記)
③区分登記(二世帯住宅を2戸に分け、それぞれの所有権を登記)

上記3つの選択肢がありますが、二世帯住宅に同居する場合、「区分登記」を行うと、親世代と子世代が別々の住宅を所有しているということになってしまうので小規模宅地等の特例が使えなくなってしまいます。

小規模宅地の特例というのは、亡くなった方(被相続人)や生活を共にする家族(同一生計親族)の事業用や住居用の宅地について、一定の要件を満たした場合に、その宅地の通常の評価額を80%減額してもらえる規定です。

この特例を利用するためには、「単独登記」か「区分登記」に変更する必要があります。

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引用:suumo

登記の仕方によっては特例が使えないこともあるので注意が必要です。また、小規模宅地の特例の適用にはその他にも条件があるので事前に確認をしておきましょう。

二世帯住宅の失敗例から学ぶトラブル対策

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二世帯住宅では、少なからず親子関係で揉め事は生じるものです。
特に嫁姑問題は、住んでみないとわからないこともあると思います。しかし、二世帯住宅に住んだ経験者の方の失敗をもとに、考えられる対策を間取りをプランニングする段階で活かしていけば、ストレスばかりが溜まってしまう二世帯住宅の生活を避けることもできるかもしれません。

以下は、旦那さんのご両親と同居して10年を迎えたお嫁さんが、二世帯住宅で失敗した体験談です。

同居して10年を迎えました。玄関・お風呂・台所すべて一緒、あえて言うなら二階の小リビングが私のくつろげる場所です。
去年義父が亡くなりすがるのは一人息子の旦那となってさらに嫁姑の関係が悪化してます。10年一緒に住んでよかったなんてこと思いつきません。
ローンも家事もすべてこっちで口だけだして老後もこっちが面倒見るって息子は親孝行で良いけど私はそんな出来嫁ではありません!!
今年に入って真剣に子供+私の別居を考えてます。優しい息子は親一人に出来るかって・・私は絶対子供と同居はしません。これが同居体験の教訓です。

引用:なんでも知恵袋

上記の体験談の二世帯住宅の家の間取りは、玄関、お風呂、台所がすべて一緒ということなので、二世帯住宅における完全共有型という間取りのタイプと考えられます。

この完全共有型のタイプは、生活費や生活利用の効率化を図れることがメリットですが、世帯それぞれがプライバシーを確保できる工夫をしないと、失敗談で語られているようなことになりかねません。

また、現在の完全共有型よりも、生活の一部だけを共有するという一部共有型の間取りであれば、台所だけが別々、お風呂がだけが別々にするなど、完全分離することなく、ある程度の時間やスペースをバランス良く共有することができます。

また、各世帯の日常生活を完全に分離したいのであれば、完全分離型という間取りを考えることが可能です。
玄関から、台所、お風呂まで全てを分離したタイプです。1階と2階で世帯を分離する場合は、足音などの配慮は必要になりますが、お互いの世帯のスペースに立ち入らず生活できるという点で、二世帯住宅であってもプライバシーを確保することができるでしょう。

二世帯住宅における間取りとプランの考え方

家族間の問題は、ご紹介した二世帯住宅の間取りだけでは必ずしも解決できるとはいえません。二世帯住宅での暮らし始める前に、ある程度のルールづくりをしておくと良いと思います。

まとめ

二世帯住宅に住みたいと考えたときに、新しい土地で生活する場合と、実家を二世帯住宅に建て替える場合の2つのケースにおいて、失敗しないための注意点をご紹介しました。

二世帯住宅で生活するにあたり、失敗してしまうのではないかと不安に感じる点もあるかとは思いますが、失敗例をもとに対策をあらかじめ考えることでトラブルを予防することが可能です。

実家の「空き家」対策から相続に関わることまで、二世帯住宅で失敗しない為に知っておくべき知識を深めたうえで、二世帯住宅での生活のプランニングをしていきましょう。

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