近年、のどかな田舎だけでなく、首都圏や人が多くいる場所でもハクビシンやアライグマの目撃・捕獲例が多く報告されています。一見すると、可愛らしく見えるハクビシンやアライグマですが、害獣と言われています。その理由は、感染症の媒体源となったり、家にも大きなダメージを与えるからです。
この害獣が増えている理由の一つに、空き家の増加があります。ここでは、害獣と呼ばれるハクビシンやアライグマが空き家にどんな影響を与えるのかについて見ていきます。
東京でも害獣がいる?
東京でも害獣がいると聞くと、ちょっとイメージがつきにくいかもしれませんが、都内23区内でもハクビシンやアライグマの害獣が増えています。
その影響は、新聞にも載ったり、ニュースになるほどです。
東京都内でイタチに似た小動物、ハクビシンの捕獲数が急増している。市区町村が発表した数値を集計すると、2005年に約200頭だった捕獲数が14年は700頭を超えた。巣となる空き家の増加などが原因とみられる。農作物への被害も広がっており、自治体が対策に動いている。
そのため自治体でも対策を取り始めています。例えば、大田区では、次のように対応策がホームページに記載されています。
天井裏などに棲みつかれた場合や被害が続く場合は、箱型のわなを設置してハクビシン、アライグマの捕獲を行います。わなの設置及び回収などは、区が委託した専門業者が行います。
区民の皆様には、わなの見回り、えさの交換、捕獲できた場合の連絡などをお願いします。捕獲に関する費用は無料です。
出所:大田区役所
どのような被害があるのか?
ハクビシン、アライグマによる被害には、生態系への被害、生活環境への被害、農業への被害などがあげられます。特に、私たちの生活に直結するのが、家に入ってくることです。当然空き家になっていれば、彼らも侵入してきやすくなりますし、いても気づくことに送れてしまいがちです。
そして、天井裏などに棲みつかれ、糞(ふん)尿による悪臭の発生、建物への被害など家への被害が広がっていきます。また、足音・鳴き声またの騒音被害、敷地内の果樹(柿やびわなど)を食べられる被害も起こります。また、かわいい動物のように見えますが、実は、病原菌などをたくさん持っています。そのため区役所が対策を講じています。
東京都内でイタチに似た小動物、ハクビシンの捕獲数が急増している。市区町村が発表した数値を集計すると、2005年に約200頭だった捕獲数が14年は700頭を超えた。巣となる空き家の増加などが原因とみられる。農作物への被害も広がっており、自治体が対策に動いている。
ハクビシンは愛らしい見た目とは裏腹に性格は凶暴で、E型肝炎など感染症の媒体になる。雑食のため都市部でも適応できるという。都内では多摩地域より区部で多く目撃されているのが特徴で、都によると、捕獲の相談件数は区部が多摩地域の2倍程度に達する。
出所:日本経済新聞 2016/02/20
ハクビシンの被害
ハクビシンの被害は、住宅被害や、農作物の被害が多数報告されています。
夜の騒音、足音、天井のシミ、糞によって腐敗した天井の落下など多数ありますが、人間やペットに及ぼす健康被害もあります。ハクビシンは多くの雑菌、ウイルスを媒介するので、人間やペットの感染症の元となる菌を繁殖し、ばらまいていることが多くあります。
また、特に多いのが、ヒゼンダニの寄生による皮膚病を発症している「疥癬(かいせん)症」です。この病気にかかると、毛がほぼ抜け落ち、皮膚は表皮が肥厚し,ゾウ皮様化します。人だけでなく、ペットにも感染します。
そして、ハクビシンは屋根裏に巣をつくると、その近くの決まった場所に排泄します。やがて腐敗しはじめた糞尿から雑菌がどんどん繁殖し感染症をもたらす危険が増えてきます。雑菌だらけなので、ありとあらゆる感染症の要因になります。また、外からダニ・ノミを体に付けて家の中に入るため、不衛生な環境になってしまいます。
アライグマの被害
アライグマは、自分の巣の周囲や、同じ場所で排泄をする習性があります。そのため、放っておくとどんどん家の中に排泄物がたまります。さらに同じところにするので天井の床が抜けることもあります。また、排泄物にカビが生えたり、悪臭を発生させたりします。
アライグマは、住みやすくするために、家の断熱材をちぎってベッドを作ります。家の断熱材はふわふわしていて、巣の材料に適しているので、作った巣の中で子供が生まれることもあります。その結果、排泄物の被害や家の損傷はどんどん進んでいきます。
結局、害獣によって、家が傷んでしまい資産価値が下がることになります。ハクビシンやアライグマがでて家の価値を下げないようにするには、管理をすることが大切です。
まとめ
ハクビシンやアライグマが空き家にどんな影響を与えるのか、気をつけるべきことについて説明してきました。都内でもハクビシンやアライグマの被害が大きいことに驚いた方もいたのではないでしょか。最近では、目撃・捕獲例が多く報告されています。感染症の媒体源となったり、家にも大きなダメージを与えてしまうのです。
空き家をそのまま放置しておくことは、環境の悪化や不審者の侵入、放火、家屋の倒壊、台風による被害などの影響もあります。空き家を放置しておくことでいいことはありません。早めに決断することも大切です。