台風で近所に大きな迷惑をかけてしまった空き家の事例とその対応

空き家をもっている人が心配なのが、台風の時期の家の破損です。台風による被害の多くは、強風によって屋根が飛んだり、壁が崩れたり、ガラスが割れる、雨漏りなどがあります。自分の空き家の被害もそれなりに大変ですが、そのまま放置しておくと、近所にも迷惑をかけてしまい、もっと大変なことになってしまいます。

例えば、よくあるのが空き家の古い瓦屋根やトタンが飛んでそれが人に当たって怪我を負わせてしまったり、隣家に当たり壁などが傷ついてしまうという危険性です。遠方でなかなか空き家を見に行くことが難しいという人もいると思いますが、それでも対応しておかないと費用もかかりますし、手間も余計にかかることになりかねません。

ここでは、老朽化した空き家の対応策や、実際に空き家が台風で被害を受けたときの影響について見ていきたいと思います。

なぜ、空き家が倒壊するのか

空き家の倒壊の危険については、社会問題化しています。そもそもなぜ、老朽化した空き家の倒壊の危険性が社会問題となっているのでしょうか。

それは、日本の家が主に木で造られていることが大きな原因となっています。木でつくられた家は、定期的な換気や適切な管理を行わないと、どんどん弱くなってしまい、構造材としての役目を果たすことができなくなってしまうのです。

一般的に空き家は古いものが多く、特に耐震基準の改正前の昭和56年以前に建てられた建物は耐震性が大きく不足している可能性もあります。そのため、古い木造の建物は、小さな地震や台風でも倒壊する建物となってしまうのです。

行政も対応を始めた~行政代執行~

空き家の問題が社会問題化するにつれて、行政も対応せざると得ない状況になってきました。そこで、行政代執行がとられています。

今でも空き家問題は多くなっていますが、今後はさらに空き家数が増加して、倒壊の危険性のある空き家の数が増加していきます。そのため危険な空き家に対する対策も厳しくなってきました、

2014年5月には大田区で築46年の倒壊寸前のアパートを空き家条例に基づき解体するなど、行政代執行(所有者に代わり行政が解体を行いその費用を請求すること)が行われました。

このアパートは老朽化がかなり進んでおり、倒壊の危険性の他にも、屋根材が飛散したり、動物による被害なども発生していたようです。家屋が倒壊にいたらなくても、重い瓦や外壁、塀などが落下する危険性もあります。

また、このような被害は台風シーズンには、強風などでがれきが飛んできて危険ですし、雪の多き地域では、冬は積雪による雪の重みで建物が傾いてしまうこともあります。もう住む予定がないのであれば、それなりの対応を早めにとっておくことが必要となっているのです。

老朽化した空き家の対応

老朽化してしまった空き家の対応は、建物に対する対策は基本的に直すか壊すかのどちらかになります。

建物の解体は、その建物の構造や大きさによって大きく異なりますが、おおよそ数十万円~100万円程度の費用がかかります。また、リフォームする場合は少なくとも数百万円の出費が必要となります。そのため、建物が古くなる前に適切な管理を行うことが重要です。

老朽化に伴う解体やリフォーム費用は金額も大きく、その決断は簡単にはいかないかもしれません。しかし、住むという予定がないのであれば、そのままにしておくと家は傷んで行く一方です。空き家をそのままにしておくのではなく、別の方法で利用することを検討してみることができるかもしれません。

台風被害の事例 その1

空き家の隣に住んでいる方が被害を受けた事例です。

台風や強風の日に空家である隣家から、プラスチックトタンの破片や壁板が剥がれて飛んできて庭に散乱して困っています。

我が家は中古物件で3年前に購入したのですが、その前からずっと空家だったようです。持ち主は元の所有者の子供らしく(元の所有者は死去している模様)、今は都外に住んでいるそうで滅多にこちらの家には帰ってきません。荒れ放題で古い造りの為、壁板は木製でバリバリ剥がれてきています。それが台風のように風が強い日に飛んできて、庭に落ちたり我が家の外壁に激突して大きな音がしたり、いつ壁が壊されるか心配ですし、台風が去ったあとに庭に散乱した隣家の残骸の処理も一苦労です。

法律的にはどうなるのか教えていただけると助かります。

出所:弁護士ドットコム

隣家の空き家になっている一部が何度も破損して飛び散っているので、このような場合には所有権に基づく妨害排除及び妨害予防の請求をすることが可能になります。もちろん損害を受けたのであれば、損害賠償請求もできます。このような場合は、土地の工作物の設置管理に瑕疵があるとみなされるからです。

相続人であれば、このような責任とともに、空き家の管理を要求されることがあります。

台風被害の事例 その2

別の台風被害にあった事例について見ていきましょう。

台風で隣の空き家が倒れ、家が損害を受けてしまいました。空き家は2階建てで、台風の前からすでにボロボロでした。今までにも空き家の窓ガラスや屋根などが飛んできていたので、うちが処分していました。

以前から市役所にも3回ほど相談をしており、去年の9月には市から持ち主へ、近隣住民が困っているという手紙を出して頂きましたが、返答や対応はありませんでした。そして今回は、空き家が1軒まるごと倒壊し、うちに倒れてきました。

うちの被害状況は、雨樋の破損落下、屋根の破損、外壁の破損(30㎝程の穴)、シャッター破損(3枚)、庭のウッドデッキ破損、エアコンの室外機破損、塀や植木の差損、庭には倒れた空き家があり、アリが何百匹も大量に出てきました。

出所:Yahoo知恵袋

この場合は、空き家を長期間放置していたと見られます。空き家自体の解体の他にも隣の家にも大きな被害を与えてしまっているので、それに対する損害賠償が求められるでしょう。市役所にも何度も連絡をとっているようなので、行政からもマークされてしまっているかもしれません。

まとめ

老朽化した空き家の対応策や、実際に空き家が台風で被害を受けたときの影響について見てきました。

結局、とりあえず空き家をそのままにしておくことは、家の傷みをどんどんひどくなっていくばかりで、よくなることはありません。「思い出のたくさんある家だから・・・」、「もしかしたらまた住むことがあるかもしれないから・・・」と、現実をよくみないまま放置しておくと、実際には、空き家にかかる費用がさらに重くのしかかってしまう可能性が高くなってしまうのです。