不動産の購入・贈与・売却など、いかなる場合でも税金はかかります。
近年では空き家を相続するケースが増えています。また、不動産の活用方法に悩む方も多くいらっしゃいます。だからこそ、購入・贈与・売却時にかかる税金の種類を把握しておきたいものです。
不動産の税金の種類についてご紹介いたします。最後には不動産について知っておくとためになる事にも触れていますのでチェックしてください。
不動産に関わる税金一覧
不動産取得(購入)にかかる税金
- 不動産取得税
- 印紙税
- 登録免許税
- 贈与税
- 相続税
不動産取得にかかる不動産取得税、契約書にかかる印紙税、登記にかかる免許登録税など、不動産を取得するだけでも多くの税金がかかることがわかります。
不動産取得税においては、要件を満たせば税が軽減される措置もあります。
不動産保有時にかかる税金
- 固定資産税
- 都市計画税
不動産を保有している場合は、固定資産税や都市計画税が毎年かかります。
固定資産税は全国一律で1.4%、固定資産税、都市計画税についてはいくつか軽減措置があります。
不動産譲渡(売却)にかかる税金
- 住民税
- 所得税
不動産を譲渡(売却)した場合は、住民税・所得税がかかります。譲渡時にかかる税額は、不動産の保有期間によって税率が異なります。
不動産にかかる税金の詳細内容
不動産取得時にかかる税金の詳細内容
不動産取得税
不動産を取得した際にかかる税金です。不動産取得時に1度だけ支払います。不動産取得税の計算方法は以下のとおりです。
土地・建物の税額=固定資産税評価額×4%(標準税率)
また、特例により新築中古ともに不動産所得税が軽減されます。
- 不動産取得税 =(固定資産税評価額 - 1,200万円)× 3%
- 不動産取得税 =(固定資産税評価額 -控除額)× 3%
新築の場合
(※認定長期有料住宅の場合は1,300万円を控除)
中古の場合
(※控除額は建築年月日によって異なる)
印紙税
不動産所得時の契約書などに貼り付ける印紙税。印紙税は、契約書の記載金額によって税額が決定します。
印紙を貼り忘れると、納付しなかった印紙税額とその2倍に相当する金額の合計を過怠税されますので注意しましょう。(印紙税額の3倍)
登録免許税
不動産を取得し、所有権移転登記、保存登記、抵当権設定登記などを行うときにかかる税金です。
登記をきちんと行うことで、不動産の所有権が明確になります。後日、別に不動産の権利を主張する人が現れても登記をしておけば安心です。
登録免許税は課税標準から税率を定めているため、登記内容によって税率が異なります。計算式は以下のとおりです。
課税評価額✕税率=登録免許税額
贈与税
贈与税は、贈与により取得した財産に対して課税される税金です。不動産の他にも車など無償で譲り受けた場合は贈与税が発生します。
課税価格は、贈与財産価格から基礎控除の110万円を引いた額にから算出します。
相続税
亡くなられた方から財産を取得したときにかかる税金です。
非相続税が亡くなられたことを確認した翌日から10ヶ月以内に非相続人の所在の所轄税務署に納税します。
不動産保有時にかかる税金の詳細内容
固定資産税
固定資産税は土地や建物など不動産を所有している人にかかる税金です。毎年、1月1日現在で固定資産税台帳に所有者として登録されている人に対して、4月から6月にあたる第1期納付月に納税通知書が送付されます。
固定資産税の税額の計算法は以下のをご参考ください。納税額については、不動産に対する固定資産税評価額に応じて決まります。また、小規模宅地等の特例といい、固定資産税を大幅に抑えられる制度もあります。
都市計画税
1月1日現在市街化区域内に土地・建物を所有している人が納める税金です。市街化区域内に不動産などを所有していない方には課税されません。
措置計画税においても、小規模宅用地が適用できます。都市計画税の場合は価格の3分の1の額となります。
市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域や今後10年以内に市街化を図るべき区域のこと。
不動産譲渡時にかかる税金の詳細内容
住民税
住民税とは、1月1日現在で住所のある市町村に納付する税金です。
福祉や教育、その他行政サービスに対して支払う税金となります。
住民税は、所得や住んでいる地域によって支払い金額が異なります。また、配偶者控除などを適応できる場合、税額を抑えることが可能です。
所得税
収入金額から、経費や所得控除額を差し引いた金額に対して課税される税金です。
所得税は課税所得×税率-税額控除額で求めることができます。
知っておきたい不動産のあれこれ
現在、国内には多くの空き家が存在しています。空き家を放置すると倒壊や不法侵入などのリスクがあり様々な空き家対策が施行されています。
今後の不動産活用でお悩みの方のために、知っておきたい情報をご紹介致します。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
一定の条件を満たせば、相続によって取得した空き家を売却して得た売却時の譲渡所得を最大3000万円控除するという特例です。
特例を受けるための条件は以下のとおりです。
- 昭和56年5月31日以前に建築された区分所有等機以外の建物であること
- 相続開始直前の段階で被相続人が一人で居住していた家屋であること
- 売却時に一定の耐震基準を満たしていること
- 相続開始から売却までの間に住居用や他の用途として使用されていないこと
- 相続及び遺贈によって取得した日相続人の居住用家屋または家屋と敷地を売却すること
- 相続開始から3年目の12月31日までに売却すること
- 売却代金が1億円以下であること
- 取得非加算の特例等、併用できない他の特例の適用を受けていないこと
- 同一の被相続人から取得した他の不動産でこの特例の適用を受けていないこと
- 売却相手は親や子、夫婦など特別な関係のある人ではないこと
条件を満たしている場合は、必要書類を用意します。
- 売却契約書の写し
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
- 登記事項証明書等次の内容がわかる書類(相続または遺贈によって取得したこと・昭和56年5月31日以前の建築であること・区分所有建物ではないこと)
- 被相続人居住用家屋等確認書
- (※耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し)
※ついては、家屋を解体して売却した場合は不要です。国税庁のサイトに詳しく制度概要が記載されています。併せてご確認下さい。
参考 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁空家等対策の推進に関する特別措置法
条件に当てはまる空き家を特定空家等に指定して、立入調査や措置の指導、勧告、命令、代執行を行うことができる規定です。
条件は以下のとおりです。
- 倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態
- 著しく衛生上有害となる恐れのある状態
- 適切な管理が行なわれないことにより著しく景観を損なっている状態
- の他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態の空家
まとめ
購入、贈与、売却、それぞれにおいてかかる税金の種類をご紹介いたしました。種類によっては、軽減措置があります。無駄に税金を支払うことのないよう制度に関してきちんと理解することが大切です。また、状況により税率が異なる種類もありますので注意しましょう。