【空き家のライフラインの管理】水道・電気・ガスの手続きと注意点

相続した実家を近い将来移住・売却することを決めて、しばらく空き家を維持することになった場合、水道・電気・ガスなどのライフラインはどのように管理すればよいか疑問に思いますよね。

人が住んでいないから毎月の光熱費がかからないよう全て解約すれば良いと感じますが、ライフラインが使えないと管理において様々な問題が生じます。

そのため空き家における水道・ガス・電気の手続きと、ライフラインの利用を停止・継続した場合どのような注意点があるかを踏まえて管理方法を判断することが重要です。今回は空き家のライフラインの利用を停止・継続する際の手続きと、それぞれの注意点に関してご紹介します。

空き家の管理にかかる費用

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空き家を売却・解体しない場合は、適切な管理をして建物を良好な状態に維持することが重要です。人が住んでいない建物は急速に老朽化が進み、倒壊による被害・不法投棄や害虫による近隣への損害などを防ぐために定期的な管理を行いましょう。

空き家の管理には光熱費以外にも様々な費用が発生します。年間である程度決まった出費が必要になるので、後で焦らないためにも予めどのような費用が発生するか、種類を把握しておきましょう。

固定資産税と都市計画税

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人が住んでいる・いないに関わらず毎年1月1日に固定資産税が課税されます。空き家は現状、住宅用特例の減税特例を受けた状態での固定資産税がかかっていますが、特定空き家に指定された場合は住宅用特例の対象から外れ、固定資産税も変化する可能性があります。

また地域によっては、都市計画に従って市街化区域内で課税される都市計画税が課税されます。

火災保険料

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人が住んでいない建物であっても、リスクを減らために保険の加入が推奨されています。適切な管理をしていても、空き家は放火や事故による火事の危険性を含んでいます。特に人が住んでいない空き家は放火の対象にされやすく、実際の被害も報告されています。

空き家に保険をかける場合は、通常の住宅用物件とは異なるため、条件によっては加入する保険が変わったり加入が出来ないケースもあります。加入できる保険の内容によっても金額は異なりますが、年間で万単位の保険料が必要になります。

点検・修理費用

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毎月発生する費用ではありませんが、建物に危険がないかの点検や、外観・内装が壊れた場合には修理費用が必要です。すぐに住む訳ではなくても、瓦が落ちたり建物の一部が倒れて住民や近くの建物に被害が出てしまうことのないよう、定期的な点検と必要な修理に費用がかかることを念頭に置きましょう。

管理サービスへの費用

空き家が遠方にありご自身では定期的な管理が難しい場合、家の劣化を防ぐため空き家管理サービスの利用が必要です。空き家管理サービスでは警備会社・不動産会社が、月に1~2回の頻度で換気・掃除・メンテナンスなどのサービスを提供しています。

地域や会社・内容によっても金額は異なりますが、安いもので5千円程度から巡回サービスを行っています。但し建物を良好な状態で維持するために必要な内容な入っていないケースもあるため、金額だけでなく内容の確認が必要です。

光熱費

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空き家になった場合でも、管理するために一定の光熱費が必要になるケースが多く見受けられます。水道・電気・ガス・インターネットなどのライフラインは、それぞれの方法を知ったうえでどの手続きを行うかによって年間で大きく費用が異なります。

固定資産税や都市計画税と違って、管理方法によって毎月の料金が変更できる項目です。少しでも安くかつ安全に空き家を維持するため、まずはどうやってライフラインの管理方法を判断するか見ていきましょう。

ライフラインの管理方法

現在誰も住んでいないので、一見水道や電気など全て解約すれば良いと感じますが、管理していく上で一括で解約してしまうと不都合が生じます。

そのため、状況に合わせて水道・電気・ガス等のライフラインの管理方法を決定します。ライフラインの手続きは、空き家管理サービスに依頼するか・管理をご自身で行うかが判断基準の一つになります

空き家管理サービスの利用

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空き家を誰が定期的に掃除や見回りなどの管理をするかによって、ライフラインの手続き方法は異なります。空き家管理サービスを利用する場合はガスは閉栓をしますが、清掃やセキュリティーシステムを利用する関係で、電気・水道の契約が必要になるケースが多いです。

そのため多くの空き家管理サービスでは、主に次のようなライフラインの手続きが必要になります。ただし会社によって手続きが異なるため、手続き前に必ず依頼する管理サービス会社にご確認下さい。

ガスの手続き
安全の確保のため、ガスはサービスを依頼する前に閉栓の手続きをします。ご利用のガス会社に、電話かインターネットでガスを停止する手続きをします。
電気の手続き
電気はサービス会社によって解約か一時停止が必要な場合と、サービスで使う為契約を続ける場合に分かれます。例えばサービスの内容に、侵入を防ぐためのセキュリティーシステムを入れた場合などは電気の契約が必須になります。

セキュリティーシステムの申し込みをしない場合でも、通常の巡回作業で必要になる事もあるので、どこまで管理サービスに作業を依頼するか・どのサービス会社に依頼するかによっても手続きが異なります。

水道の手続き
水道はほとんどのサービス会社で契約の継続が必要になります。依頼する会社や申し込むサービス内容によっても異なりますが、空き家管理サービスの業務では室内外の清掃を行います。

清掃時に水を使用するため、契約の継続・停止した場合は使用開始の手続きが必要になります。

家族で管理する場合

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ご自身やご家族で空き家を管理する場合は、何を解約するかの判断は自由です。ですが、例えば月に一回掃除に来るとき、電気が通っていないと掃除機がかけられない・トイレに行こうとしても水道が通ってないのでどうしよう…と現実的な問題が発生します。

とはいうものの、誰も住んでいない家に通常通りの光熱費はかけたくないのが悩みどころです。では、どうやってライフラインの手続きを判断するか・少しでも光熱費を安く抑えるにはどのような方法があるか見ていきましょう。

※こちらでは主な手続きをご説明しますが、地域や業者によって内容は異なるので実際の手続き前には該当地域の各所へご確認をお願いします。

水道の手続きと注意点

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水道の手続きとして、使用中止・利用継続の選択肢があります。それぞれの注意点や手続きの内容を見ていきましょう。

水道を止める際の注意点

水道を止めるには、電話かインターネットで使用中止の連絡をします。使用中止の手続きの際は、お客様番号が必要です。領収証明書や検針票を準備しておくと、手続きがスムーズに進みます。

水道を止めた場合は、ご自身で家の見回りに来た際にトイレが使えない・掃除で水が使えないといった注意点があります。掃除においては、例えば車に水を積んで持って行きその水で掃除するのも一つの手段です。

また、地域によっては水道を一時的に使えるような手続きも可能です。メーターを外していない場合であれば、数日で水道を利用することが出来ます。地域の水道局に「実家が空き家になっているので、通常は水道を止めて一時的に水道を使えるようにすることは出来ますか」と問い合わせてみましょう。

住所を伝えると水道の現状などを調べた上で、詳しい手続きを教えてくれます。但し、水道を使えるようにするため、1日の使用であっても1ヶ月分の基本料金が掛かかるケースもあります。

また水道を長期間止めてしまうと配管が錆びたり、異臭が発生する可能性が高くなります。将来空き家に移住する・売却を検討している場合は、定期的な水道などのライフラインの管理をしないと、価値が下がってしまうことを念頭に置いておきましょう。

水道を継続する費用と注意点

水道の利用を継続する場合は、状況によっては名義変更を行います。名義変更に関してはインターネットでの手続きが難しいため、お客様番号を準備して電話で手続きを行います。

利用を継続する場合は水を使わない場合でも、上下水道料金は月々発生します。例えば東京水道局の料金自動計算で23区の口径13㎜、水道を全く使用しない場合で計算すると、¥1532の支払いが発生する見込みになります。

水道を使わない場合でも発生する基本料金については、水道局のHPで料金を確認出来ます。空き家のある地域の水道局のHPか、「水道 基本料金 地域名」で検索すると見つかりやすいです。

水道の利用を継続する注意点としては、定期的な料金がかかること以外に、侵入者によって不法に水道を使われる可能性があります。

どちらが正解ということは無い為、リスクを踏まえた上で現状と照らし合わせて判断しましょう。

電気の手続きと注意点

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電気も水道と同様、利用を止めるか継続するかの判断をします。但し水道と違い、電気は漏電・放電による火災など可能性があるので、危険性も考慮して管理方法を選びましょう。

役所によっては空き家の管理における注意事項の欄に、「空き家になった場合、ガス・電気は確実に遮断する」と記載があるように、人が住んでいない建物では電気の管理には注意が必要です。

電気の中止手続きと注意点

電気は利用停止の手続きをする方が、万一のことを考えると安心できます。電気の利用を止めるときは、契約している電力会社に電話・FAX・インターネットで利用停止の手続きをします。

手続きの際はお客様番号が必要になるため、検針票か領収書を準備しておきましょう。メーターを撤去したい場合は別途手続きが必要なので、合わせて連絡を行います。

電気を停止する注意点としては、浄化槽・給湯器の問題が考えられます。浄化槽を使っている場合は、電気を止めてしまうとバクテリアが死滅して悪臭がします。長期間浄化槽の機能が失われると復旧する際に、別途費用が発生します。

また給湯器を止めてしまうと凍結が起こり、故障の原因になります。特に売却を検討されている場合は、電気を止めたことによって修復費用が発生する可能性を考慮しておきましょう。

電気の継続手続きと注意点

電気の利用を継続する場合は、アンペア数を下がる手続きが可能です。そのため、電気を節約して使用するには、電力会社に問い合わせをしてアンペアを変える方法があります。

どの位の頻度で空き家に行き掃除をするかによっても変わりますが、アンペアを低い契約に変更すれば、通常の基本料金の1/2~1/3の料金で利用することが可能です。

空き家で電気を継続する場合は、漏電・放電によって火災が発生する危険性があることを理解して、室内に置くものについても十分な注意が必要です。

ガスの手続きと注意点

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ガスはガス漏れなどの危険性があるため、安全を考慮して空き家となってしまったら早期に閉栓の手続きをします。ご自身で管理する場合だけではなく、空き家管理サービスに管理を依頼する場合でも、サービスを開始する前にガスは閉栓するよう注意があります。

ガスを止めてしまうと、空き家の巡回に来た際に冬場も暖房器具を使う事が出来ません。ただガスも電気も使わないストーブもあるので、冬場は暖房器具を持って行く手段もあります。

また、ガス業者によっても異なりますが、一定期間ガスの利用を申し込むことも可能です。通常1日からガスの一時利用が可能であり、費用も日割りの基本料金+使用料金の支払いで済みます。(※業者によって日数や計算方法も異なるので、事前の確認をお願いします)

安全を考慮して、且つ契約業者によっては一時利用の料金も少なく済むため、ガスは契約しているガス業者に連絡の上、閉栓の手続きを取ることをお勧めします。

その他ライフラインの手続き

水道や電気以外にも、郵便物・インターネット・定期配達物の手続きが必要です。今まで家に住んでいた方以外が手続きを行うケースが多いため、まずは何に申し込みをしていたかの把握が必要です。インターネット以外にも、新聞や雑誌の定期購読・生協や牛乳などの配達をしていた場合、各自管轄の場所へ連絡をして解約の手続きを行いましょう。

まとめ

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空き家のライフラインに関する手続きの方法と注意点に関してご紹介しました。空き家を維持するには、光熱費・固定資産税・都市計画税・保険料・修理点検費用・管理サービス費用が発生します。

固定資産税など変えられない費用もありますが、光熱費や管理費用は方法によって金額を抑えることも可能です。安全を図ったうえで、建物の状況や立地などを考慮してライフラインの管理方法を決めましょう。

こちらでは空き家を維持する際の手続きや費用をご説明しましたが、維持にも毎月の固定費用がかかるため、最終的に空き家をどうするか話し合い決定することが重要なのではないでしょうか。

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