土地や住宅などの不動産の売却をお考えの方。初めてのことで「何から始めたら良いのかわからない」「でも損はしたくない」と、やきもきしてしまっていませんか?
不動産を売却する際最も大切なのは仲介を依頼する不動産会社の選び方。仲介をお願いする不動産会社によって、あなたの不動産の価格は大きく変わってしまうかもしれません。
今回は、不動産を売却する際の不動産会社の選び方について、詳しくご紹介いたします。
不動産はどうやって売却するの?
そもそも、土地や住宅はどのように売却するのでしょうか?
買主を見つけ、不動産と引き換えに料金をもらう、と考えると簡単に感じるかもしれませんが、もちろんそれだけではありません。
買主と取引をするまで、そしてそのあとにも必要な手続きがあるのです。
不動産の相場を知る
不動産を売却する際、買主に支払ってもらう為の「売値」を設定しなければなりません。
しかし、その不動産の価値がわからなければ金額を設定することはできませんよね。
そのために、まずは市場価格を把握しておかなくてはいけないのです。
市場価格を知る方法としては、地価公示、地価調査、不動産価格指数といった、公的機関で評価されている情報を確認したり、インターネット広告で販売中の物件の売り出し価格を把握する、という方法もあります。
また、不動産を売却する際に利用する不動産情報バンク「レインズ」でも、ご自身の売却物件とともに他の物件情報を確認することもできます。
レインズについては、こちらで詳しくご紹介しています。
不動産売買で利用する「レインズ」って何?知っておきたいメリット・デメリット
仲介の依頼をする不動産会社を決める
不動産の価格の目安がわかったら、いよいよ不動産会社に仲介の依頼をします。
いきなり不動産会社を決めてしまうのではなく、まずは複数社に不動産の査定を依頼してみて、査定価格を出してもらったほうが良いでしょう。
不動産の査定は、無料で引き受けてくれるところもあれば有料でしか受けてくれないところもありますので、事前に無料かどうか確かめてからお願いしたほうが良いです。
一口に不動産の価格といっても、不動産会社によって査定価格は様々。査定価格の安すぎる不動産会社だと、売主側に有利な売買活動を行ってもらえない可能性もあります。複数社から出された査定価格をもとに、それぞれを比較して不動産会社を選択します。
媒介契約を選択する
次に、不動産に依頼する際の媒介契約を決めなくてはなりません。
媒介契約とは、不動産を売却する際に依頼する業務の仕様や仲介手数料等を明確にし、不動産会社とのトラブルを防ぐために選択するものです。
媒介契約には専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3つがあり、選ぶ媒介契約によってレインズへの登録義務や、不動産からの報告義務が異なります。
このように、媒介契約にはそれぞれメリット・デメリットがありますので、ご自身に合った媒介契約を結ぶことが大切です。
不動産を売り出す
不動産会社を決めたら、物件の売り出し価格を決めます。
不動産によって、その物件につけられる査定価格は異なりますが、必ずしも査定価格を売却価格にしなければいけないというわけではありません。
不動産会社の中には、売主から依頼を受けるために当初の査定金額を釣り上げておきながら、売り出し始めてから「反響を増やすために、価格を安く設定し直しませんか?」と提案してくるような会社もあります。売主としてはできるだけ高い金額で売りたいと思うのは当然のことですが、価格を高く設定しすぎるとなかなか買主がつきません。
売主はなるべく高く売りたいですし、買主はなるべく安く買いたいのです。
なので、はじめの設定金額はあまり高額すぎず、安すぎもしない価格にすることが大切です。しばらくしても反響がなかった場合には一度値下げをしてみて、それでも下がらなかった場合はもう一度値下げを検討することが必要になります。
買主の中には、「この物件を買おうかな」と考えていながらも、「もう少し安かったらな…」と悩んでいる人もいるはずです。
そういった方は、物件が値下げされるのを待っているかもしれません。
ですが、何度も値下げを繰り返してしまうと、「またしばらくしたら値下げされるだろう」と考える人も出てきてしまうかもしれませんので、何度も値下げを繰り返してしまうのも考えものかもしれません。
物件情報を開示する
2016年1月より、物件の登録情報の項目が追加され、より詳しく情報を開示することができるようになりました。
種別 | 項目 |
物件の性能 | 耐震基準適合証明書 |
長期優良住宅認定通知書 | |
住宅性能評価書 | |
建築確認完了検査済証 | |
法適合状況調査報告書 | |
低炭素住宅 | |
省エネラベル | |
建物検査 | 瑕疵保険検査基準に適合 |
フラット35・S適合証明書 | |
建築士等の建物検査報告書 | |
住宅履歴 | 新築時・増改築時の設計図書 |
修繕・点検の記録 | |
リフォーム | 5年以内に水回り設備交換 |
5年以内に内装リフォーム | |
5年以内にその他リフォーム | |
5年以内に大規模修繕工事 | |
空き家バンク | 空き家バンク登録物件 |
追加されたのは上記の17項目ですが、登録は任意となっていますので、これらのすべてを必ず明記しなければならないわけではありません。ただ、買主側の立場に立って考えると、物件に関する情報はたくさん確認できたほうが安心できますし、どんな物件なのかのイメージもしやすいので、問い合わせにつながりやすくなります。
購入希望者と交渉し、売買契約を結ぶ
買主となる購入希望者から問い合わせを受けたら、売却条件を交渉します。
売却価格はもちろんですが、売却の時期、不動産を引き渡す際にかかる清楚等の費用の交渉など、買主とじっくりと相談することが必要となります。
条件について双方で合意できたら、買主と売買契約を結びます。売買契約を結ぶ際、契約金として物件価格の10%~20%程度の金額を受け取ることになりますが、これは仲介する不動産や買主と売主の話し合いによっても変わりますので、よく相談しておきましょう。
不動産を買主へ引き渡す
売買契約を結び、売買代金を受け取ったら、いよいよ不動産の引き渡しとなります。
しかし、不動産の引き渡しといっても、ただ単に「これからはこれはあなたのものです」と渡せばいいというわけではありません。それまでは売主の所有物だったわけですから、所有権の移転をしたり、抵当権を抹消したりという登記申請が必要となります。
登記申請は不動産会社や、専門の業者にも対応してもらうことができますので、ご自身で行うのが難しい場合には相談してみましょう。
不動産売却の際にかかる手数料と税金
不動産を売却すると、売却の際に得た「譲渡所得」により、税金がかかることになります。この税金には軽減措置の特例もありますが、適用の条件が非常に複雑なため、税理士や専門業者などに相談することをおすすめします。
不動産会社を選ぶポイント
不動産の売却は、選ぶ不動産会社と、その売却に携わる担当者にかかっている、と言っても過言ではありません。不動産会社に仲介を依頼する際は、売却活動を行ってくれるのも不動産会社で、売主自身ではありません。ですから、売主としては買主がなるべく早くつくよう、できるだけ不動産会社にはがんばってほしいものですよね。
では、不動産会社を選ぶ際どのようなポイントを押さえて考えればよいのでしょうか。
免許・行政処分歴等を確認する
まずは免許の確認。不動産業には通常、宅地建物取引業免許が必要となります。
悪徳な業者だと、無免許で営業しているということもありますので、免許は必ず確認しておいたほうが良いでしょう。
きちんとした業者であれば、会社のホームページや広告、事務所など、お客様が確認できるところに免許番号を記載しているはずですから、免許番号をわかりやすく記載しているかどうかも信頼できるか否かの判断基準となるでしょう。
宅建業免許は、更新されるごとに免許番号の中にある()の数字が増えていきます。
1996年4月以前は3年毎に、それ以降は5年ごとの更新が義務付けられていますので、例えば2000年に取得した免許を現在まで問題なく更新しているとすれば、免許番号に(3)と記されていますので、少なくとも15年の営業経験がある、ということがわかります。
この数字が多ければ多いほど、きちんと免許を更新して営業している会社ということがわかりますから(何か会社に不正等があった場合、もちろん免許の更新は難しくなってしまいます)、信頼できる業者かどうかの判断基準となり得るでしょう。
また、宅地建物取引業法の違反をしていないかどうか、行政処分を受けたことがないかを確認するのも、その会社が今までにどのように営業してきたのかを判断する重要な材料となります。免許業者の行政処分情報は、国土交通省地方整備局等、都道府県庁などの備え付けの名簿で調べることができます。
売却活動はどのように行っているのかを確認する
不動産会社には物件を売り出す活動をしてもらうわけですから、どのような売却活動を行ってくれるのか?どのような戦略があるのか?というのを確認しておくことも大切です。
これは、不動産会社ごとの特徴ももちろんありますが、担当者ごとの違いもありますので、担当になった方にじっくり話を聞いてみると良いでしょう。
また、専属専任媒介契約・専任媒介契約の場合はレインズの登録が必須となり、定期的に販売状況の報告をもらうことになりますが、契約の前に「販売状況については、どのような報告をもらえるのでしょうか?」と確かめておくと良いです。
それによって、不動産会社がどのような売却活動を行うのか、どのようなことを売主に伝えたら良いと考えているのかがわかります。
買い替え先の不動産会社に頼むと売主側にメリットが
もしも不動産の売却が買い換えによるもので、既に購入したい住宅が決まっていたら、住宅購入予定の不動産会社に売却を依頼してみるのも良いでしょう。
売主が今所有している不動産が売れなければ、新しい住宅を買うことはできませんよね。そうなると住宅を売りたい不動産会社は困ってしまいますから、「早く不動産を売らないと!」という危機感を持って販売してもらうことができ、早期の成約が期待できます。
また、新たな購入代金の支払いと、売却代金の受取り時期を調整してもらえたりと、何かと売主側にはメリットが多いのです。
不動産会社によって異なる査定価格と手数料
不動産売却の流れでも少しお話しましたが、不動産会社によって、不動産の査定額は様々です。また、不動産会社に仲介を依頼すると仲介手数料を支払わなくてはなりませんが、その手数料の額も、依頼する不動産会社によって異なることが多いです。
査定価格はどのように決められているのか?
そもそも「査定価格」とは、中古物件を売買する際に「その物件がいくらで売れるか」を不動産会社などが示す価格のことをいいます。
その不動産を購入した当時の価格、契約関係の資料、登記資料、リフォームの履歴等を参考にし、物件の維持管理状況などを確認したうえで、路線価や公示価格、周辺地域での取引の事例などを参考にして、適正と思われる価格を決定するのです。
不動産会社によって価格が異なる理由
査定価格を決める判断材料はいくつかありますが、それをどう参考にし、どのように比較するのかは不動産会社によって異なります。
例えば上記でご紹介した以外にも、近隣で売出中の不動産の価格や、売出中の物件の数などを考慮して査定価格を算出する会社もありますし、建物の状況にしても、単純に築年数で判断する業者と、古くてもリフォーム等をしていれば評価を上げる業者とがあります。
つまり、「不動産売買のプロとして、何をどう判断して査定価格を算出して、売主に提案するのか」が会社ごとに違うというのが理由の一つであると言えます。
しかし、先述の通り高い査定価格を提案し、結局売却の際に引き下げていくというような不動産会社も存在しますから、不動産会社が売主に対して誠実な態度を取ってくれているかどうかで考えることが重要です。
不動産によって仲介手数料が異なる理由
不動産会社に仲介を依頼した際の手数料は、通常売買価格の3%~5%とされていて、ほとんどの場合不動産会社に必ず支払わなくてはならないものですが、なぜ%が違うのかと言うと、売買価格がいくらになるのかによって、手数料の割合が異なるからです。
売買価格(税抜き) | 仲介手数料(税込み) |
200万円以下 | 5.4%以内(5%+消費税) |
200万円以上400万円以下 | 4.32%以内(4%+消費税) |
400万円以上 | 3.24%以内(3%+消費税) |
つまり、例えば売却価格が250万円だったとすると、4.32%の手数料がかかることになり、売主から不動産に支払う額は108,000円ということになります。
また、この割合はあくまで手数料の上限額であり、不動産会社によって%は異なります。仲介手数料が高いと売主からの依頼をもらいにくいため、必要経費をカットして、仲介手数料を安く抑えようとする業者も多く出てきています。
例えば、印刷代や人件費のかかる折り込みチラシをやめて、宣伝方法をインターネット広告に絞ったり、営業マンが物件に立って見学者を待つような人件費のかかる営業体制を見なおしたりして、その物件にかかる経費を削減しているのです。
ですから、仲介手数料が会社によって違う理由は、その会社が利益と経費によって決めている手数料の割合にあるというわけです。
まとめ
今回は、信頼できる不動産会社を選ぶポイントについてご紹介いたしました。
改めてまとめると、不動産売却の相場を知ること、不動産会社の免許や活動を確認しておくこと、査定価格と手数料を比較することの3つが、不動産会社選びで特に必要なポイントとなっています。
大切な住宅や土地の売却。一生にそう何度もあることではありませんから、トラブルになることなく気持ちよく売り出したいですよね。
疑心暗鬼になってしまうのもよくありませんが、何か不安な点があればきちんと確認できる会社を選び、「この人にならお願いできる」と思える担当者を選べるといいですね。
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