知っておきたい解体工事の騒音、振動に関する法律

解体工事を行なうときに避けられないのが、騒音、振動です。施工主としては、近隣の方に迷惑がかからないように気をつかうところですし、解体工事をしている近隣の方からすると、迷惑に感じたり、中には体調が悪くなったりと、いろいろな不安がつきまとうこともあるようです。

実際に解体工事にともなう話のなかでも、騒音や振動に対す対応についての相談は多い傾向にあります。解体工事にともなう騒音や振動に対応するときに知っておきたいのが、関連する騒音や振動に関する法律です。今回は、環境省が定めている騒音、振動に関して、どのようなことが定められているのかを見ていきたいと思います。

騒音規制法とは

騒音規制法は、工場及び事業場における事業活動や建設工事に伴って発生する騒音について必要な規制を行なうことにより、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的としている法律です。

建設作業騒音の規制として、騒音規制法では、くい打機など、建設工事として行われる作業のうち、著しい騒音を発生する作業を、政令で定める作業として規制対象としています。都道府県知事等が規制地域を指定しており、環境大臣が騒音の大きさ、作業時間帯、日数、曜日等の基準を定めているので、これらの基準内で、市町村長は規制対象となる特定建設作業に関し、必要に応じて改善勧告等を行うことになっています。

(改善勧告及び改善命令)
第12条 市町村長は、指定地域内に設置されている特定工場等において発生する騒音が規制基準に適合しないことによりその特定工場等の周辺の生活環境が損なわれると認めるときは、当該特定工場等を設置している者に対し、期限を定めて、その事態を除去するために必要な限度において、騒音の防止の方法を改善し、又は特定施設の使用の方法若しくは配置を変更すべきことを勧告することができる。
引用:騒音規制法

解体工事の騒音

振動規制法の概要とは

振動規制法は、工場及び事業場における事業活動や建設工事に伴って発生する振動について必要な規制を行うとともに、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的としている法律です。

建設作業振動の規制については、振動規制法において、くい打機など、建設工事として行われる作業のうち、著しい振動を発生する作業などを、政令で定める作業として規制対象としています。都道府県知事等が規制地域を指定しており、総理府令で振動の大きさ、作業時間帯、日数、曜日等の基準を定めているので、これらの基準にしたがって、市町村長は規制対象となる特定建設作業に関し、必要に応じて改善勧告等を行うことになっています。

(改善勧告及び改善命令)
第十五条  市町村長は、指定地域内において行われる特定建設作業に伴つて発生する振動が環境省令で定める基準に適合しないことによりその特定建設作業の場所の周辺の生活環境が著しく損なわれると認めるときは、当該建設工事を施工する者に対し、期限を定めて、その事態を除去するために必要な限度において、振動の防止の方法を改善し、又は特定建設作業の作業時間を変更すべきことを勧告することができる。
引用:振動規制法

解体工事の振動

基準になる騒音、振動基準

環境省で定められている騒音は85db(デシベル)、振動は75dbとされています。

一 特定建設作業の騒音が、特定建設作業の場所の敷地の境界線において、八十五デジベルを超える大きさのものでないこと。
特定建設作業に伴つて発生する騒音の規制に関する基準

別表第一
一 特定建設作業の振動が、特定建設作業の場所の敷地の境界線において、七十五デシベルを超える大きさのものでないこと。
振動規制法施行規則

いきなりdbと言われても、わかりにくいと思いますので、普段の生活の中の騒音で考えてみたいと思います。70dbの騒音は、騒々しい事務所の中や騒がしい街頭などでの音の大きさです。80dbは、地下鉄や電車の車内、ピアノ(正面1m)といわれています。90dbはカラオケの客席が目安とされています。

解体工事の場合、ある程度の騒音や振動はやむを得ないものではあるものの、この基準を大幅に超えている場合には、施工主にクレームが入り、施工主から解体工事業者に対応依頼が入ることになるでしょう。しかし、解体工事業者の対応ができない場合には、その地域で管轄している行政や警察に連絡されることもあります。

どれくらいの騒音があるのかを測るために専門の機器を使うこともできますが、最近ではスマートフォンのアプリで、音量計を測るものが出ています。無料のアプリもありますので、app storeやGoogle playで「デシベル」と検索すると見つけることができます。

デシベルメーター
騒音をはかるアプリ

騒音計測メーター
騒音測定器

建物解体工事による騒音被害で慰謝料、建物の補修費用等の支払いが認められた事件

解体工事の騒音被害で裁判にいたったケースがありますので、その事例を見ていきましょう。この裁判では、原告は工事現場の近隣の住民、被告は建築土木等建設工事の請負会社でした。判決は、被告は原告らに計約165万円、及び支払済みまで年5分の割合を支払うこと、そして、訴訟費用は1/5が被告の負担となるというものでした。

騒音調査の結果として、工事現場の境界線で測定された騒音は最大値100dB、振動は最大値90dBを超えていたそうです。

この状況に対して、原告である工事現場の近隣住民からは、工事が周辺の住環境に適切な工法をとっていない、工事による騒音は最大値で100dBを記録している日があり、基準値を超える日が測定日のかなりの割合を占めている、工事による振動は最大値で90dBを超えており、恒常的に基準値を超える騒音、振動が発生しているという訴えがありました。

近隣住民の一人は振動により動悸がひどくなり医師から虚血性心疾患との診断を受けたり、工事業者の説明不十分により対処の方法が分からず、体調を崩す者も出たとの主張もありました。また、実質的に近隣住民の住居には振動による様々な損傷が出ており、解体工事による騒音及び振動が我慢する限度を超えており、精神的苦痛に対する慰謝料の支払い、近隣住民らの住居の修補費用の支払いを求めるものとなっています。

一方、被告である工事業者は、騒音及び振動の軽減措置を講じ、近隣住民に配慮して本件解体工事を行っており、条例は特定建設作業を改善勧告等の対象外にあたる、指定建設作業の基準値を超える騒音及び振動を恒常的に発生させていない、近隣住民の症状と工事との因果関係や建物の損傷は工事の振動との因果関係が認められず、近隣住民の限度を超えるものではないと主張していました。

これに対して裁判所では、測定結果から、数時間は大きな騒音及び振動が発生したことは認められ、近隣住民の住居付近では恒常的に工事と同程度の騒音及び振動が発生していると判断しました。

また、工事の騒音及び振動の全てが原告である近隣住民の限度を超えるということはできないものの、在宅している近隣住民については限度を超えるものもあったことや、解体工事の騒音及び振動の程度と近隣住民の症状が対応しているとはいえないが、解体工事により近隣住民の住居建物に損傷が認められることなどから、被告である解体工事業者は原告である近隣施設に約165万円、及び支払済みまで年5分の割合を支払うという判断がされています。

騒音を減らす方法

施工主であれば、今後もおつき合いのある近隣住民とは上手にお付き合いしたいところです。騒音を減らす方法としては、解体する建物の周りの養生方法の変更やもしくは工事方法の変更ができるかもしれません。どちらも解体工事業者の技術や協力が必要ですし、場合によっては余分な経費がかかることもあるかもしれません。

解体工事の防音

また、解体工事業者を選ぶ時には、騒音の状況や近隣住民への説明も含めて、しっかり対応してくれる業者を見極めてください。くれぐれも悪徳解体工事業者に依頼することがないように気をつけましょう。

まとめ

解体工事を行なうときに避けられないのが、騒音、振動です。施工主としても、解体工事をする近隣の方からしても、影響が考えられるので、それなりに対応策を考えておきたいところです。実際に解体工事における相談でも、騒音や振動に対するものは多く、騒音や振動に関する法律の基本をおさえておくことをおすすめします。

環境省が定めている騒音、振動に関しては、騒音は85db(デシベル)、振動は75dbとされています。解体工事の場合、ある程度の騒音や振動はやむを得ないものではあるものの、この基準を大幅に超えている場合には、施工主にクレームが入り、施工主から解体工事業者に対応依頼することが多いようです。

騒音を減らす方法としては、解体する建物の周りの養生方法の変更やもしくは工事方法の変更ができるかもしれません。また、解体工事業者を選ぶ時には、騒音の状況や近隣住民への説明も含めて、しっかり対応してくれる業者を見極めてください。

実は、お近くの業者より近郊の解体業者の方が
費用が安くなることがあります

解体工事でかかる費用は主に「人件費」と「産業廃棄物処理費用」の2つです。立地などの状況によりますが、「人件費」と「産業廃棄物処理費用」の2つで解体費用全体の70%~80%を占めています。これらの費用は各エリアで設定が異なるため、「解体現場付近の業者」より「近郊エリアの業者」の費用が安くなる場合があるのです。

こちらが実例の見積書です。同じ工事内容なのに50万円以上の金額差が出ています。
1枚目:解体現場付近業者の見積書(¥2,204,010)
2名目:近郊エリア業者の見積書(¥1,600,000)

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